真夏の夜の夢子ちゃん
神社の境内は多くの人で賑わっていて、この町のどこにこんなに人がいるのだろうと思うほどだった。
家族連れやカップル、中学生くらいのグループも多く見受けられる。
この町に高速道路が通ったら…
あの山にリゾートホテルができたら…
この祭りももっと賑わうのだろう。
この町にとっては、きっといいことなんだろうな。
屋台を覗きながら歩いていると、「お兄さん、お兄さん」と声をかけられた。
射的の屋台の奥から、頭にタオルを巻いた男性が手招きをしている。
「遊んでいかない?」
そう言ってニヤッと笑った。
「あぁ…はい。」
洸平はズボンのポケットを探った。千円札が4枚だけ入っている。
このまま帰る気にもなれないので、言われるがまま金を払った。
500円で、玉は6発。銃の先にコルク玉を詰めると、洸平は台の上に体を半分乗せた。
「お兄さん、何狙うの?」
男性が聞いてくる。
「何がいいかなぁ…。」
洸平は棚の上に並べられた景品を見た。
大きなぬいぐるみやお菓子や、小学生の間で流行っているアニメのトレカセット、などなど。
所詮、祭りの射的の景品の中に、本気で欲しい物など存在しない。欲しい物を狙うというよりは、玉を当てることに意味があるのだと思っている。
洸平は、クッキーの箱に狙いを定めると一発目を打った。
しかし、玉は見事にハズレてかすりもしない。くそっ、と小さく呟いてもう一度玉を詰める。
その後もクッキーの箱は倒れることなく、残り一発になってしまった。
たかが射的の、安っぽい景品ごときに真剣になっている自分に笑える。
洸平は最後の一発を銃の先に詰めると、ゆっくりかまえた。
「お兄さん頑張れー。」
屋台の男性が抑揚のない声援を送ってくる。
ふいに、甘い香りが漂った。
あ、この香り知ってる。
クッキーを狙いながらそんなことを思った時、すぐ隣で聞き覚えのある声がした。
「キャラメルがいい。」
洸平が驚いて横を見ると、あの子が景品の棚を指さしながらじっと見ている。
「キャラメル、獲って…?」
そう言って笑いかけてくる。
洸平の心臓は爆発的に早くなり、全身の血管が波打った。
家族連れやカップル、中学生くらいのグループも多く見受けられる。
この町に高速道路が通ったら…
あの山にリゾートホテルができたら…
この祭りももっと賑わうのだろう。
この町にとっては、きっといいことなんだろうな。
屋台を覗きながら歩いていると、「お兄さん、お兄さん」と声をかけられた。
射的の屋台の奥から、頭にタオルを巻いた男性が手招きをしている。
「遊んでいかない?」
そう言ってニヤッと笑った。
「あぁ…はい。」
洸平はズボンのポケットを探った。千円札が4枚だけ入っている。
このまま帰る気にもなれないので、言われるがまま金を払った。
500円で、玉は6発。銃の先にコルク玉を詰めると、洸平は台の上に体を半分乗せた。
「お兄さん、何狙うの?」
男性が聞いてくる。
「何がいいかなぁ…。」
洸平は棚の上に並べられた景品を見た。
大きなぬいぐるみやお菓子や、小学生の間で流行っているアニメのトレカセット、などなど。
所詮、祭りの射的の景品の中に、本気で欲しい物など存在しない。欲しい物を狙うというよりは、玉を当てることに意味があるのだと思っている。
洸平は、クッキーの箱に狙いを定めると一発目を打った。
しかし、玉は見事にハズレてかすりもしない。くそっ、と小さく呟いてもう一度玉を詰める。
その後もクッキーの箱は倒れることなく、残り一発になってしまった。
たかが射的の、安っぽい景品ごときに真剣になっている自分に笑える。
洸平は最後の一発を銃の先に詰めると、ゆっくりかまえた。
「お兄さん頑張れー。」
屋台の男性が抑揚のない声援を送ってくる。
ふいに、甘い香りが漂った。
あ、この香り知ってる。
クッキーを狙いながらそんなことを思った時、すぐ隣で聞き覚えのある声がした。
「キャラメルがいい。」
洸平が驚いて横を見ると、あの子が景品の棚を指さしながらじっと見ている。
「キャラメル、獲って…?」
そう言って笑いかけてくる。
洸平の心臓は爆発的に早くなり、全身の血管が波打った。