大好きな人とお別れしたのは、冬の朝でした



「妹の詩織よ。私の健康管理やストレッチを手伝ってくれてる」

彩絵は詩織たちの様子に違和感を感じなかったのだろう。あっさりと紹介してくれた。

「沖田瞬です」
「姉がお世話になっております。近藤詩織です」

あの火花はなんだったのだろうと思いながら、詩織は平静を装って深く頭を下げる。
沖田自工は、姉にとって大事なスポンサーだ。

「ごめんね、瞬。今日はもう帰るから、またね!」

彩絵は瞬の手を取って、名残惜しそうに挨拶している。
いつも以上に愛想のいい姉の態度を見て、詩織はなんとなく察した。

(彩絵ったら、本気で好きなのかな?)

彩絵は男性には奔放な性格で、これまで何人もと付き合ってきた。
でも、恋人だといえるような相手はいなかったはずだ。

(スポンサーになってくれるくらいだもの。きっと彼に大切にされているんだわ)

さっきの自分の中で弾けたものが気になったが、その考えは即座に封印した。



< 10 / 118 >

この作品をシェア

pagetop