大好きな人とお別れしたのは、冬の朝でした


「それでは、リハビリ室までいらしてください。打ち合わせを……」
「いえ、患者は私ではありません」
「え?」

打ち合わせをしようとした詩織は聞き間違いかと思ったが、男性は真面目な顔つきだ。

「では、患者さんはどちらに?」
「この近くの別荘におります。そちらまでご足労をお願いします」
「今日、これからですか?」

詩織は今日は夕方までこの病院で仕事の予定だった。

「院長の許可はいただいております。今後は、このリハビリをメインにスケジュール調整をお願いします」

なんだか強引な患者のようだ。
詩織は患者の名前と年齢を確認しようと、院長が置いて行った紹介状を見た。

「沖田瞬?」

思わず声に出してしまった。同姓同名だろうか。

「はい。あなたに担当していただくのは、沖田です。ご存知ですね」
「え?」

やっと詩織は思い出した。
目の前の男性は、あの日病院で彩絵を出迎えていた沖田自工の秘書だ。




< 104 / 118 >

この作品をシェア

pagetop