大好きな人とお別れしたのは、冬の朝でした
「……あなたは、瞬さんの秘書の方ですね」
「はい。佐久間と申します」
「昨日、ここに瞬さんが来ていたのは……また会おうというのはこういうことだったんですね」
「私が運転してお連れしました。一度は受診する必要がありましたので」
昨日瞬が病院にきていたのは、理学療法士として詩織にリハビリテーションを担当させるためだったのだ。
「どうして、私なんですか?」
詩織の声は震えていた。
リハビリなら東京にいくらでも有名な先生がいるはずだ。
わざわざ九州の田舎町までやってきた瞬とこの佐久間という男性はどこまで知っているのだろう。
この病院に勤めていることを突き止めたのだ。もしかしたら翔琉のことも調べただろうかと不安になった。
「それは私からはお話しできません」
秘書という立場では、話せることと話せないことの線引きはキッチリしているのだろう。
「リハビリは、高橋さんからあなたが適任だと言われましたので」
「T・ケアの高橋さんが?」
「はい。寝たきりに近かった沖田があそこまで回復できたのは高橋さんのおかげですから」
寝たきりという言葉に、詩織の身体は震えた。
重症だろうと思っていたが、そこまで酷い状態だったのかと改めて恐怖を感じる。