大好きな人とお別れしたのは、冬の朝でした
「こうするのが夢だった」
「瞬さん」
「もう一度君に会いたいという気持ちがあったから、厳しいリハビリに取り組むことができたんだ」
「それで、高橋さんがリハビリを?」
「ああ。詩織に会うまでに歩けって言われて、ずいぶんしごかれた」
かなりハードだったのだろう。思い出したのか、瞬が顔をしかめている。
それを見て、詩織は明るい声で瞬に話しかけた。
今の彼なら、きっとリハビリにも前向きになっているはずだ。
「じゃあ、トレーニングを始めましょう!」
詩織は瞬の両手をとって、彼をゆっくりと立ち上がらせる。
「これからは私があなたをしごきます!」
こぼれる涙を拭いもせず、詩織はもう一度彼の胸に顔を埋めた。
瞬の手がそっと詩織の背に回されるのを感じて、詩織も彼の背に手を伸ばす。
「もう離さないよ」
「大丈夫。二度と離れないから」
お互いの体温が混ざり合って、ふたりは温もりに包まれていく。
固い絆は、やはり切れてはいなかった。