大好きな人とお別れしたのは、冬の朝でした


***


(珍しいタイプだな)

瞬は手を振る彩絵の後ろ姿を見送りながら、頭の中では詩織のことを考えていた。

初めて会った、彩絵の妹の詩織。
派手なドレスを着た彩絵の横にいたのに、地味な色のドレスを着ていた詩織の方が瞬の印象に残っていた。
あれほど目立つ彩絵と並んでいても、瞬の目にははっきりと映ったのだ。
ほっそりとした身体のライン。小さくまとめた髪のせいで綺麗なうなじがよくわかった。
それに、歩き方が美しかった。

(スイスイと、まるで泳いでるみたいだな)

こんなに大勢の人がいるのに、上手に()けて動いていたのが目にとまったのだ。
彩絵の側まで、あっという間に近づいていた。
後姿を見ても細身なのに無駄のない筋肉がついているからか、しなやかな歩き方だ。

アクセサリーだってなにひとつ身に着けていないのに、彼女には自然に目が向いた。
なにより印象に残ったのは、瞬にまったく興味がなさそうな表情だった。



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