大好きな人とお別れしたのは、冬の朝でした



様子を見ようと控室で待つことにしたが、一時間も経たないうちに部屋の外が慌しくなってきた。

「なにかあったのかしら」
「チョッと出てみよう」

詩織と拓斗が控室を出たら、エレベーターが開いて彩絵が姿を見せた。
早朝だというのにきちんとメイクもしていて、ファーつきのコートの下にはブルーのワンピースを着ている。

拓斗と詩織がいるのには気がついていないのか、ヒールの音を響かせながら廊下を歩き出した。

「あ、近藤彩絵さんですね」

スーツ姿の男性が廊下の奥から急いで彩絵の方に駆け寄ってきた。

「はい。近藤彩絵です」
「秘書の佐久間と申します。奥様がお待ちですからこちらへどうぞ」

わざわざ彩絵を奥へと案内している。
明らかに詩織たちとは違う対応だ。
わけもわからず拓斗と顔を見合わせていたら、瞬の義母も奥の部屋から姿を見せた。


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