ループ11回目の聖女ですが、隣国でポーション作って幸せになります!2
「そうですね、私が間違っていたのかもしれません」
「――どうして!」

 そんな強い声音で吐き出すつもりはなかったのだろう。口にしてしまってから、しまったというようにアンセルムは両手で口を覆った。

「……それは」

 あまりも強いアンセルムの勢いに、イリアも気圧されたように言葉に詰まった。彼女もまた、手が白くなるほど強く拳を握りしめている。
 無言のまま立ち上がったイリアは、部屋の隅に置かれていた机に歩み寄った。その引き出しから取り出した数枚の紙を持って戻ってくると、アンセルムの方に差し出す。
 そこには細かな字で、なにやらびっしりと書かれている。

「私は、焦っていたの。どうにかして、自分の代で片を付けねばならないと思っていた。そうしたら、あなたにこの役を負わせないで済むと思ったから」

 妹と離れるまでは、神官のような役を負っていたから、彼女は一族の歴史についてよく知っていた。よく知っていたからこそ、追い詰められてしまった。
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