とある会社の色んな恋


「気づいてねーの?
お前甘いもの食う時、すっげ笑顔だぜ?」

宮森はなんでもないようにそう言うと、
シュークリームの入っていた紙袋を丸めた。

「笑顔?私が?」
「あぁ。すっげ幸せそうに食うから、
見てると嬉しくなんの」

急に顔がぶわっと熱くなったのを感じて
すぐさまうつむいた。

「何言ってんの…」
「自分で気づいてねーのか。
同期の飲み会でも最後にデザートが出ると
すんごい笑顔だぜ?」
「え…」
「甘いもの好きなんだな」
「まぁ…うん…」
「もっと自分に興味もてよな」
宮森がうつむく私の頭をくしゃっと撫でた。

「興味なんてもてないよ。
こんなブス」

私にも少しはプライドがあるから、
他人のまえで自分を卑下するようなことを
言ったことはなかった。
なのに、今、本音がぽろっと出てしまった。
何でだろう…

「木下はかわいい」


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