大嫌いと言われた元カレに再会したら、息子ごと溺愛が待っていました
「犬飼さんは、お母さんのお友達なんでしょう? 僕にじゃなくて、お母さんにお土産買ってあげてよ」
「待って秀也、なに言ってるの。いいから」
「え~だってさ、いっつも僕にばっかりお土産買って、お母さん見るだけで全然買わないじゃん。服とか靴とかもさ、僕のだけだし」

まさか秀也が気づいていたとは思わなかった。

すぐに成長するため、秀也の服や靴は一年に数回買い換えていた。秀也に我慢をさせたくなかったし、生活は厳しかったがお金がないと思われたくなかった。自分の服などもう何年も買っていない。拓也の前で言われたことが恥ずかしくて、つい視線を落とす。

「わかった。じゃあ寧子のプレゼントを今度探そうか。秀也は優しいな」
「当然じゃん。おじいちゃんも死んじゃったし、お父さんは元々いないし、家族で男は僕だけなんだ。だから、おばあちゃんもお母さんも僕が守らなきゃ!」

まさか秀也がそんな風に考えていたとは知らず、目の奧がじんと熱くなる。涙が溢れそうになって、慌てて目を擦った。

俯く私の頭を拓也がぽんと軽く叩いた。大きく優しい手のひらに包まれると、ますます涙が滲んでしまう。

「そこに俺も混ぜてもらえないか?」
「犬飼さんも? どうして? お母さんの友だちだから?」
「そうだね。それもあるけど一番は、もしも秀也が一人で困ったとき、頼れる人がいるって知っておいてほしいからだな。俺と、お母さんを守る仲間にならない?」
「仲間!」

仲間という戦隊ヒーローによく出てくる響きが気に入ったのか、意味はわかっていないだろうに秀也が嬉しそうに笑う。
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