大嫌いと言われた元カレに再会したら、息子ごと溺愛が待っていました
夕方近くになり、帰る前に土産物を見ることになった。

「ね~お母さん、これほしい!」
「こんな大きいぬいぐるみ、うちに置く場所ないでしょ?」

秀也が欲しがったのは、両手で抱えるほど大きなぬいぐるみ。1DKの狭いアパートに置いたら寝る場所がなくなってしまう。それに予想はしていたけれど、ぬいぐるみ一つに二万円は出せない。

「そっか、寝る場所なくなっちゃうね……しかも高かった」

秀也はしょんぼりと肩を落とした。

「もう少し小さいのならいいんじゃない? ほらこれとか」

同じキャラクターのついたキーホルダーを手に取ると、秀也は嬉しそうに頷く。

「なら、こっちの大きいのは俺が買おう。うちに置いておくから、この子に会いに来ればいいよ」
「拓也っ、そういうのいいってば!」

私が断ると、拓也が寂しそうな顔をする。会えなかった十年分甘やかしたいという気持ちの表れなのだろうが、嘘をついて別れを選んだのは私だ。拓也が傷つく必要もないのに。

「犬飼さんち、この子を置く場所あるの?」
「あるよ」
「ありがとう。でも僕、お母さんにこっちを買ってもらうからいいや」
「そう?」

なにか買ってあげたいと思ってくれるのはありがたいが、彼の家に行く羽目にならなくてほっとした。秀也が間に入ってくれているから距離を保っていられるが、もし二人きりになってしまったら、彼の気持ちを突っぱねられるとは思えない。
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