エリート御曹司に愛で尽くされる懐妊政略婚~今宵、私はあなたのものになる~
 獰猛ささえ感じるほどの情欲に満ちた視線。見つめられるだけで菜摘の体温がどんどながっていく。

「そんなつもりはないんだけど……はじめてだから。ねぇ、目をつむってくれる?」

 清貴は返事をする代わりにそっと目を閉じた。熱い視線からしばし逃れると、ドキドキと高鳴るばかりだった心臓が少し落ち着いた気がした。

 しっかりと彼を見つめ、それから唇を近づける。柔らかい唇に自らのそれを押し付けると、彼からもキスが返ってきた。

(私、自分からしたんだ)

 その事実に満足して離れようとすると、手をぐいっと掴まれた。驚いている間もないほどすぐに、今度は彼の方からキスがしかけられた。それもさっきとは比べものにならない程に濃厚なキスだ。

「俺が教えたキスはそんなもんじゃないはずだ」

 射貫くように見つめられて、脳内がくらくらする。すぐに再開されたキスに翻弄される。

「んっ……はぁ」

 角度を変えながら唇が重なり、呼吸の合間に舌が滑り込んでくる。舌をからめとられ上顎を舐められ夢中になってキスを返していると、そのまま押し倒されてベッドに倒れ込んだ。

「自分から言い出したんだから、せめてこのくらいはしてもらわないと」

 キスを繰り返しながら、パジャマのしたの素肌を彼の熱い手のひらが滑っていく。優しく振れられるだけなのに、皮膚があわだち快感がじわじわとひろがっていく。

「はじめて菜摘からさそってくれたから、今日は思い切り乱れればいい」

 その宣言通りに、彼は彼自身すべてを使って菜摘をかわいがった。お互いの吐息や汗が交じり合い境目がわからなくなる。

 何度も上り詰め自分の声だと思えないほどの切ない声を上げる。それでも清貴は菜摘を愛する手をゆるめなかった。

「菜摘、お前が今何かに悩んでるのはわかる。俺でそれが消せるならいくらでも協力する」

 菜摘は驚いた。清貴は菜摘がなんらかの悩みを抱えていることはわかっていたのだ。しかし無理に聞き出すことはせずに、菜摘の願いをかなえてくれた。

「清貴……」

 彼の名前を呼ぶと同時に、眦から涙がこぼれた。それにはさすがの清貴も驚いたようだ。「大丈夫か?」

 慌てて離れようとする彼を、菜摘が引き止める。

「いかないでっ……もっと、愛して」
< 79 / 112 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop