エリート御曹司に愛で尽くされる懐妊政略婚~今宵、私はあなたのものになる~
***
勢いのまま飛び出した清貴は、そのまま職場に向かった。どこか落ち着けるところと思っても思いつくところがオフィスしかない。
今まで何かあっても仕事さえしていれば、その間は忘れることができた。だから今回もいつもと同じように、仕事に心血をそそげばどうにかやり過ごせると思ったからだ。
休日なので人は少なく、役員フロアにもなると人影はほとんどなかった。自室に向かいデスクに座る。
大きなプレジデントデスクにはノートパソコンとタブレットそれに電話だけ。もともとものが多いほうではないが味気なさは否めない。
ふとこれまで自分はそんなことを気にする性質だったかと振り返る。思い返してみれば菜摘と一緒に暮し始めてから様々な面で考え方が変わった気がする。
それまでモノトーンでいいように言えばシンプルだった部屋は、彼女が来てから彩を得た。ファブリックが明るい色になり瑞々しい植物が増え、そしてなにより彼女の明るい笑顔があった。
このまま時間をかければ、何もかもうまくいく。そう考えていた自分の考えが甘かったのだとたった一枚の画像がその現実を突きつけてきた。
「なんでだ、菜摘っ」
デスクを叩くとドンッと大きな音が出る。しかし感情をぶつけたところで何かが変わるわけではない。わかっているがイライラももやもやも何ひとつ時間が経ってもなくならない。
思い浮かぶのは最後に見た菜摘の顔だ。
疲れた表情を浮かべなにもかも諦めたかのような様子に、これ以上何を聞いても彼女は答えないと理解して家を出た。
今思えばあんな形で声を荒げ詰め寄れば、彼女が委縮して何も話せなくなることくらいわかっていたはずだ。それに加え質問したのは自分なのに、矢継ぎ早に彼女に言葉をぶつけ反論の余地もあたえなかった。
「最低だな」
時間と距離を置いて冷静になればあの時の自分がどれほどひどかったのかわかる。
しかしあのとき菜摘を前にしたらどうしようもなく感情が高ぶり落ち着くことなどできなかった。
どう考えても自分の未熟さが今の状況を生み出している。
清貴はわかっていた。自分の中の地雷が何かということを。それは間違いなく菜摘のいとこであり、過去に自分から彼女を奪った存在である賢哉だ。
なんらかの理由でふたりが結婚していないということを知り結婚を申し込んだときに、菜摘を奪い返したいというつまらない自尊心のようなものがなかったとは言えない。
しかし彼女と結婚したところで、家族同然に育ってきたいとこというあの男の立場は大きく、常に心の中で気にかけている自分がいた。
もし菜摘と一緒に映っていた相手が他の人物であれば、おそらくここまで感情を爆発させてはいないだろう。
あきらかに昨日の菜摘は様子がおかしかった。しかし彼女から話をしてこないのに無理に聞き出すわけにはいかないと思い、彼女の望みをできるだけ叶えるようにした。
どこか不安そうな表情で、無理して笑っていた。そのあと別れ際の悲し気な表情を思い出して胸がかきむしられるように痛い。
そうさせたのは自分が原因なのに。
この半年を振り返ると、どのシーンにも菜摘がいた。結婚当初はかたくなだった彼女が時間が経つにつれ自分に信頼を寄せているのを肌をもって感じていた。
勢いのまま飛び出した清貴は、そのまま職場に向かった。どこか落ち着けるところと思っても思いつくところがオフィスしかない。
今まで何かあっても仕事さえしていれば、その間は忘れることができた。だから今回もいつもと同じように、仕事に心血をそそげばどうにかやり過ごせると思ったからだ。
休日なので人は少なく、役員フロアにもなると人影はほとんどなかった。自室に向かいデスクに座る。
大きなプレジデントデスクにはノートパソコンとタブレットそれに電話だけ。もともとものが多いほうではないが味気なさは否めない。
ふとこれまで自分はそんなことを気にする性質だったかと振り返る。思い返してみれば菜摘と一緒に暮し始めてから様々な面で考え方が変わった気がする。
それまでモノトーンでいいように言えばシンプルだった部屋は、彼女が来てから彩を得た。ファブリックが明るい色になり瑞々しい植物が増え、そしてなにより彼女の明るい笑顔があった。
このまま時間をかければ、何もかもうまくいく。そう考えていた自分の考えが甘かったのだとたった一枚の画像がその現実を突きつけてきた。
「なんでだ、菜摘っ」
デスクを叩くとドンッと大きな音が出る。しかし感情をぶつけたところで何かが変わるわけではない。わかっているがイライラももやもやも何ひとつ時間が経ってもなくならない。
思い浮かぶのは最後に見た菜摘の顔だ。
疲れた表情を浮かべなにもかも諦めたかのような様子に、これ以上何を聞いても彼女は答えないと理解して家を出た。
今思えばあんな形で声を荒げ詰め寄れば、彼女が委縮して何も話せなくなることくらいわかっていたはずだ。それに加え質問したのは自分なのに、矢継ぎ早に彼女に言葉をぶつけ反論の余地もあたえなかった。
「最低だな」
時間と距離を置いて冷静になればあの時の自分がどれほどひどかったのかわかる。
しかしあのとき菜摘を前にしたらどうしようもなく感情が高ぶり落ち着くことなどできなかった。
どう考えても自分の未熟さが今の状況を生み出している。
清貴はわかっていた。自分の中の地雷が何かということを。それは間違いなく菜摘のいとこであり、過去に自分から彼女を奪った存在である賢哉だ。
なんらかの理由でふたりが結婚していないということを知り結婚を申し込んだときに、菜摘を奪い返したいというつまらない自尊心のようなものがなかったとは言えない。
しかし彼女と結婚したところで、家族同然に育ってきたいとこというあの男の立場は大きく、常に心の中で気にかけている自分がいた。
もし菜摘と一緒に映っていた相手が他の人物であれば、おそらくここまで感情を爆発させてはいないだろう。
あきらかに昨日の菜摘は様子がおかしかった。しかし彼女から話をしてこないのに無理に聞き出すわけにはいかないと思い、彼女の望みをできるだけ叶えるようにした。
どこか不安そうな表情で、無理して笑っていた。そのあと別れ際の悲し気な表情を思い出して胸がかきむしられるように痛い。
そうさせたのは自分が原因なのに。
この半年を振り返ると、どのシーンにも菜摘がいた。結婚当初はかたくなだった彼女が時間が経つにつれ自分に信頼を寄せているのを肌をもって感じていた。