エリート御曹司に愛で尽くされる懐妊政略婚~今宵、私はあなたのものになる~
 跡取りが必要だからという理由をつけて、嫌がる菜摘を無理やり妻にした。

 あの当時、自分がこんなに感情的で衝動的な人間だとは思わなかった。賢哉から菜摘を取り返し、優越感を持ちたい。自分を振った菜摘に罰を与えたい。

心の底でそんな最低な気持ちが多少なりともあったことは否めない。

 しかし結婚して日が経つにつれてわかってきたのは、菜摘に対して抱いていたのは恨みなんかではなく愛おしさだった。

 七年経っても忘れられず、ただ彼女だけが欲しいと思い知らされた。だからといって強引に妻にした手前、一方的な恋愛感情をぶつけられたらどれほど迷惑だろうかと考えると気持ちを素直に伝えることはできなかった。

 結婚を申し込んだ際に『結婚には愛だの恋だの必要ない』と告げている。そんな自分から彼女に愛を伝えるにはもう少し時間が必要だった。

 しかも生活を共にしていると彼女への恋する気持ちがどんどん深くなっていく。

 そのうえ「跡取りが必要だから」という理由で結婚した手前、彼女と寝室を共にする機会を持った。

 そうすると年甲斐もなく彼女にのめり込んでしまい、彼女が疲れ切るまで自分の腕から話すことができなかった。

 自分で自分がコントロールできない状況に焦る。だからこそ子供ができやすいというひと月のうち数日間だけ彼女を抱いた。

 そうしなければ箍が外れてしまい朝も夜もなく彼女を求めてしまいそうだったからだ。

 傷つけなくない。今度は失敗したくない。そう思ってきたはずなのに。嫉妬にくるって最大の失敗を犯してしまった。

 頭を抱えていた清貴は、デスクに自分の頭を打ち付ける。

 いまさらになってなんてことをしたんだと思っても遅い。

(いや、まだ遅くないのでは?)

 そう思った清貴はすぐに立ち上がり、マンションへと戻ることにした。今度は何があっても彼女の話をきちんと聞こうと、そう心に決めて。

 休日の街中は、人でごった返していた。休みを楽しんでいる人物が多いのか明るい顔をしている人物が多く感じる。菜摘と過ごしていたときの自分はあんな顔をしていたのではないかとふと思った瞬間、清貴は自分の目を疑った。

「なんで……あいつがっ!」

 自宅近くだったこともあり、車を停めてすぐに走り出す。すると向こうから歩いてきている賢哉を見つけて詰め寄った。

「貴様、菜摘がいるのに他の女と!」
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