23時のシンデレラ〜ベッドの上で初めての魔法をかけられて〜
「ん?覚えてないの?」

小さく欠伸しながら、颯が起き上がると、悪戯っ子みたいに目を細めた。

「覚えて……ない、です」

「あっそ、なら、しょうがないよね」

(しょ、しょうがない?!意識をなくしていたとはいえ、勝手に襲っておいて?)

言いたいことは沢山あるのに、言葉は、出てこず口をパクパクさせている私をみて、颯がケラケラと笑った。

「金魚みてぇ」

颯は、起き上がると、チェストからTシャツを引っ張り出した。

「あの、確認しても?昨日、その私って、貴方と……?」

「どした?セックスするのってそんなに驚くこと?」

「セッ……」

そこまで言ってから、その言葉を口にするのが恥ずかしくて、私は口籠もった。

「あと、俺の名前、颯だから、颯って呼べよ。呼んでみて」

颯は、ベッドサイドに腰掛けると、私の顔を覗き込む。

「……は、……や……て」

「あのな美弥、3文字だけなんだからさ、もうちょい流暢に。じゃないとバレるからさ」

「え?」

(バレる?何が?)

「いいから、早く呼んでよ」

「……颯……」

決して私の瞳から、視線を外さない颯を見ながら、私は小さく名前を呼んだ。

「よくできました」

颯が、くしゃくしゃっと猫にするように、私の頭を撫でた。

「おいで、二人とも朝ごはんにしよ」

颯は、にこりと笑うと、私の手を引いて、おきたミャーを腕に抱えると、ダイニングへと足を向けた。
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