23時のシンデレラ〜ベッドの上で初めての魔法をかけられて〜
瞳を閉じれば、嫌でも、美弥と北沢のキスシーンが脳内再生されていく。

そもそも、美弥が、何故泣いていたのかわからない。

最近、美弥とは、すれ違いが続いていたから、接待の前に、事務所の小窓から、美弥の様子を見ようと、俺は、営業部のある階でエレベーターを降りた。

降りたら丁度、泣いている美弥を見かけ、声をかけようと思ったら、北沢が、美弥に駆け寄ってきた為、俺は、美弥の側に行くことができなかった。

それに、北沢に抱きしめられて、キスをされた美弥は、俺の見た限り、とても嫌がっているようには、見えなかった。

「俺とのキスはこの間、嫌がったくせに……」

先日、車の中でキスした時、美弥が、力いっぱい、俺を押し返したことを思い出す。結局あのあと、嫉妬に任せて、美弥をベッドに押し倒し、美弥の意識を飛ばしてしまった。

美弥の気持ちを待つどころか、あんな事をしておいて、美弥の気持ちが、俺に向くなんて都合のいい事があるんだろうか。

「はぁ……」

無意識に後悔の溜息は溢れて、誰にも拾われることなく、そこら中に転がっていく。
< 114 / 145 >

この作品をシェア

pagetop