23時のシンデレラ〜ベッドの上で初めての魔法をかけられて〜
「颯、お疲れ様」

別室で待機していた実花子が、俺の肩を軽く叩いた。

「今回も色々セッティングありがとな。実花子も疲れただろ」

「仕事だから」

そう一言だけ言葉にして、唇を持ち上げる実花子の秘書としての有能ぶりには、舌をまくばかりだ。

「部屋どっちだっけ?」

「こっちよ、突き当たりの右奥。着いてきて」

実花子の長いベージュの髪を眺めながら、俺はスラックスの中のスマホを取り出した。

『美弥、家に着いた?』

いつもなら、すぐ返事がくるが、今日は既読にもならない。 

(まだ帰ってないのか……?)

「颯、此処よ」 

扉の中に入れば、20畳ほどの和洋室で、和室に布団が2組敷いてある。俺は布団横に置いてあるビジネスバックに手を伸ばした。

「じゃあ、実花子、明日の星川社長の朝の見送りだけ頼むわ」

「えっ?颯帰る気?」

実花子が、淹れかけていたコーヒーの手を止めた。

「流石に二人で泊まる訳にも行かないしな、美弥にも、泊まるって言ってないし」

俺はスーツのジャケットを羽織った。

「……何それ」

「実花子?」
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