23時のシンデレラ〜ベッドの上で初めての魔法をかけられて〜
「ンンッ……千……」

重ねられた唇から、千歳の舌が入ってきて、より、強く深く重ねられて、呼吸ができない。

そのまま千歳の掌が、私の着ているフレアスカートの裾を捲り上げるのが分かった。

「や……だ……ンンッ」

「颯先輩より、優しくするから……」

声は、出ないのに、身体だけが、カッと熱くなる。

「美弥、好きだよ……」

ーーーー違う。颯の声じゃない。颯の唇でも掌でもない。私が触れて欲しいのは、好きだよと甘く囁いて欲しいのは、颯だけ。

「ンッ……い……や」

ーーーー触れられるのも、キスされるのも、抱かれるのも、初めては、全部、全部、颯がいいの。

颯しか嫌なの!!

「っ……やめてっ!」

私は、力一杯、千歳を両手で突き飛ばした。

「美弥っ」

千歳の掌が、私の手首を掴み直す。

「離して!初めては、颯がいいのっ!」

「え?」

千歳が、驚いた顔で、私の瞳を見つめた。

「……颯先輩……美弥を、抱いてないの?」

大きな声を出したら、せき止められていた涙が、一気に流れていく。

「颯は……ひっく……本気だから、私に……分かって貰えるまで、手は……出さないって……ひっく……」

「嘘だろ……」

千歳が、私から手を離して、口元を覆うのがわかった。

ーーーーその時、玄関扉が、誰かによって、外から開かれた。
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