23時のシンデレラ〜ベッドの上で初めての魔法をかけられて〜
ーーーーあれは8年前だ。

私の両親は、車の事故で、突然亡くなった。まだ17歳だった私は、その現実が受け入れてられなくて、よくこの海に来ては、泣いた。

あの日も泣こうと思って訪れた、いつもの防波堤には、先に座っていた男の子がいた。茶髪で、切長の瞳の綺麗な顔をした男の子で、年上だろうか、私より大人びて見えた。

違う防波堤に行こうかとも思ったが、他の防波堤には、先客の釣り人が居たため、私は、彼から、すこし離れて座った。

どの位そうしてたか、わからない。ひとしきり海を見ながら、両親が恋しくて、ただ泣いていたように思う。

ふと、隣の彼の横顔をみれば、涙が一筋溢れているのに気づいた。

『……これ、どうぞ』

彼は、目線だけ私に向けると、面倒臭そうにまた海を眺めた。そして、ボソリと呟いた。

『お前の方が泣いてんじゃん』

『……えと、もう泣き終わったから』

私は、隣にしゃがみ込むと、彼に再度ハンカチを差し出した。

『あんま見んなよ』

彼は、私からハンカチふんだくると、ゴシっと綺麗な瞳を拭いた。

『……人って死んだら海に還るとかいうけどさ、絶対嘘だよな』

『え?』

彼は、海の向こう側の水平線に目を細めると、寂しげに、ふっと笑った。

『アンタは?何で泣いてんの?』

一瞬、適当に誤魔化そうかと思ったが、綺麗な濁りのない瞳に見つめられて、私は、本当の事を答えていた。
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