23時のシンデレラ〜ベッドの上で初めての魔法をかけられて〜
『お父さんとお母さんが、事故で死んじゃったから……遠い親戚の家にいくの……もうすぐ此処に迎えがくるから。……だから、最後にお父さんとお母さんとの思い出の詰まってる、この海にきたくて……明日から、一人で頑張らなきゃいけないから』
彼は、暫く黙ってから、静かに口を開いた。
『……見た目に寄らず、芯が強いんだな。見かけ倒しの俺とは大違い』
『え?』
自分のことを呆れたように笑う彼から、目が離せない自分がいた。
『俺さ、愛人の子なんだよね……で、昨日、病気の母さんが死んだんだ……泣けばスッキリするかと思ったけど、寂しさって消えねぇのな』
私は、何て返事をしたらいいのか分からなくて、彼の横で、黙って言葉の続きを待っていた。
『……親父がさ、本妻との間に子供が出来ないから、母親の入院代と引き換えに、籍に入ったんだけどさ……母さんが死んで、何のために生きてんのか、もう分かんなくなってさ……俺の価値なんて、親父の血を引いてるってだけだろ。誰も本当の俺なんて必要としてない、俺が、死んでも悲しんでくれる人も居ない』
『そんなことないっ』
思わず出た大きな声に、彼の切長の瞳が、大きくなった。