23時のシンデレラ〜ベッドの上で初めての魔法をかけられて〜
「何、その顔、誘ってんの?」 

颯の綺麗な顔に、ずいっと覗き込まれて、私は、何にも言えない。颯の綺麗な顔に、ずいっと覗き込まれて、私は、何にも言えない。颯が、しゃがんでいるだけなら、まだしも、足を肩に担がれて、きっと色気のない下着まで丸見えだ。

「やぁ……見ないで……」


思わず覆った、両手は、すぐに颯に振り解かれる。

「恥ずかしがってる顔、ちゃんと見せろよ」

真っ赤な顔で、生理的に涙を溜めた、私を眺めながら、颯が唇を引き上げた。

「お礼貰っていい?」

「へ?」 

颯の大きな掌が、グイッと私の顎を持ち上げる。

男の人と付き合っだ事がない私にも、颯が何をしようとしてるのか直ぐにわかった。  

ーーーー男の人とキスなんて……どうやってしたらいいのか、どうしてたらいいのか、何も分からない。

「美弥、俺見ろよ」

颯は、基本目を逸らさない。逸らすのはいつも私の方だ。

「や、だ……」

「却下」

緊張から身体が、小刻みにふるえてくる。

颯の顔が近づいてきて、思わず、ギュッと目を瞑った。どのくらいの時間そうしてただろうか。

「……ばか……会社でするかよ」

颯は、私からあっさり離れると、慣れた手つきで、私の両足首の靴擦れに、絆創膏を貼り付けた。そして猫にするように、くしゃくしゃっと私の長い黒髪を撫でた。

「はい、おしまい」

「あ、有難う……」

私は、ようやく深く空気を吸い込んで呼吸を整えると、パンプスを履き直す。絆創膏が、クッションになって、痛みが随分と和らいだ。
< 30 / 145 >

この作品をシェア

pagetop