23時のシンデレラ〜ベッドの上で初めての魔法をかけられて〜
私は、扉の『会議室3』のプレートを確認してから、勢いよくドアノブを捻った。

「遅れてごめんなさいっ」

ペコリと頭を下げた私をみながら、千歳は、ふっと笑った。

「8年ぶりなのに、全然変わらないな、美弥は」 

彼に呼び捨てされることなど、当たり前だったのに、8年ぶりに自分の名を呼び捨てにされると、勝手に鼓動が跳ねた。

「えっと……」

「今は二人きりだから、幼なじみとして、普通に喋ってよ」

千歳は、にこりと笑うと隣を指差した。

「どうぞ」

私は、千歳に言われるがまま、隣にちょこんと座った。

「本当久しぶりだね、驚いたよ、まさかまた美弥に、それも同じ職場で会えるなんてね」

「私も……すごくびっくりした。千歳くん、ほんと変わらないから、すぐ分かったよ」

「それを言うなら美弥もかな。僕もすぐ気づいたけど、皆んなの前だったから、咄嗟に知らない振りしてごめんな。それに、僕と美弥の二人だけの秘密にしとくのも悪くないなって」

「秘密って、千歳くんっ」 

昔、お隣に住んでた二つ歳上の千歳とは、両親同士も仲がよく、物心ついた時からいつも一緒に過ごしていた。私の両親が事故で亡くなるまでは。

「今までどうしてたの?」

千歳が頬杖をつくと、真顔で私の瞳をじっと見つめた。
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