23時のシンデレラ〜ベッドの上で初めての魔法をかけられて〜
★ 颯は、乱暴な口調とは裏腹に、ゆっくりと、顔を近づけてくる。

ちゃんと、私の気持ちを確かめる様に。

私は、颯の綺麗な切長の瞳に吸い込まれそうになりながら、そっと瞼を閉じた。 

「……ンッ……」

初めて触れ合った唇は、触れ合った途端に、熱を帯びることを、私は初めて知った。
颯は、角度を変えながら、優しく、ふわっとしたキスを繰り返す。

「美弥……」  

「ンンッ……ふ……」

やがて、触れるだけのキスから、噛み付く様なキスに変わる。呼吸するギリギリまで唇を離してもらえなくて、呼吸を求めて、更に大きな口を開ければ、颯の舌が割入ってくる。

「ンッ……颯……息でき……な……ンンッ」

「ちゃんと、タイミングみて、息しろよ」

颯の舌が私の舌を舐めとるようにして、口内を暴いたと思えば、また唇を喰むように、優しく触れられる。

「ふっ……も、……む、り」

唇だけしか触れられてないのに、颯に全身キスされているかの様に、身体から力が抜けて、蕩けそうになっていく。

甘くて激しいキスに思考が停止して、意識は、ぼんやりと薄らいでいくのを感じていた。

(キスって……こんなに……)

このまま、颯にどうされてしまうのか、もう颯に、全てを委ねてしまいたくなる程の甘いキスを繰り返されて、とろんとしてきた私の瞳と、熱を帯びた颯の瞳とが、ふいに、かち合った瞬間だった。

急に、颯が、飛び退くようにして、私から離れた。

「颯……?」

「おわり!……んな顔されたら、これ以上は、俺が無理っ!」

「えと……」 

突然、離された唇にはまだ颯の熱が残っていて、私はどうしたらいいか、何て言えばいいのかもわからない。

「可愛いすぎんだろっ」

颯は子供みたいに拗ねると、ようやくアクセルを踏み込んだ。そんな颯を眺めながら、頬を染めた私は無意識に、人差し指で唇に触れていた。


ーーーーキスって、こんなに幸せなんだ。


私の、生まれて初めてのキスは、23時の王子様に奪われた。

それは、クセになりそうな程に、甘くて蕩ける、魔法みたいな、幸せなキスだった。
 
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