23時のシンデレラ〜ベッドの上で初めての魔法をかけられて〜
「ま、俺はどこでもいいけど……美弥?」 

ーーーー急に顔が熱くなる。男の人と、それも颯と二人で出かけるなんて……初めてだ。

「あの……デート……初めてだから、ちょっとドキドキしてきて……」

颯は、少しだけ目を見開いてから、追加で入れたルイボスティーを飲み干し、ご馳走様と箸を置いた。 

「えっと……」

「いいよ。いきなり俺に拾われて、うちで働くことになって慌ただしかったからな、ご褒美に動物園《《デート》》連れてってやるよ」

デートという言葉だけ強調したのは、颯の意地悪だ。でも、そのデートという言葉に、気恥ずかしくて、身体中がソワソワしてむず痒くなる。  

颯は、綺麗な瞳を優しく細めると、私の頭をポンと撫でる。

「二人で出かけるの初めてだから、楽しみだな」

意地悪したかと思えば揶揄って、最後は優しくされて、私の胸は、やっぱり、ドキドキしっぱなしだ。

「う、ん……」

ドクンドクンと心臓が風船なら、とっくに割れてしまってる。

私の心臓は、颯にリモコンで操作されてるんじゃないかと思うほど、話すたび、瞳を見つめられるたび、すぐに鼓動は、小刻みに踊る。

颯と、まだ暮らし始めて数日なのに、心の中はどんどん、颯の居場所が増えていく。


ーーーーどんどん好きになってしまう。

一度進んでしまった時計の針が戻る事がない様に、一度芽生えた恋心は、もう後戻りができないほどに、気づけば膨れ上がっていく。


「じゃあ、服用意してあるから、着替えろよ」


「あっ!」

颯の言葉を聞きながら、ふと、壁にぶら下がっているカレンダーを見て、私は声を上げた。
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