23時のシンデレラ〜ベッドの上で初めての魔法をかけられて〜
平日とはいえ、家族連れやカップル、学生と動物園は、意外と混んでいた。

(あれ……まただ)

一瞬、知り合いかなと思う視線が、こちらに向けられて、見れば全然知らない人だという事が、さっきから何度も続いている。

「美弥?どした?」

恋人繋ぎをした手は、そのままに、颯が、私を覗き込む。その時、知らない小さな声が僅かに聞こえた。

(「あの人、すっごいカッコ良くない?」)


ーーーーあ。
 
幾度となくすれ違う、知らない人の視線をやけに感じるのは、私の隣にいる、颯のせいだ。

途端に、私は俯きたくなった。こんな誰が見ても綺麗な顔をした王子様みたいな人が、私を婚約者として、側に置いてくれている事に。

一緒にご飯を食べて一緒に眠って……キス……まで。そんな夢みたいな事があっていいんだろうか。私なんかが、颯の側にいても、本当に迷惑じゃないんだろうか。

ふいに、颯の大きな掌が伸びてきて、私の顎が強引に持ち上げられる。

「怒んなよ」

「え?」
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