23時のシンデレラ〜ベッドの上で初めての魔法をかけられて〜
私の返事を待つ事なく、颯は、私の唇をぱくんと食べた。

「ンンッ……」

また後ろから、誰かの小さな悲鳴が聞こえてくる。歩きながらだし、人混みだ。きっと唇が触れ合っていたのは、数秒のことだったのに、私は魔法をかけられたみたいに、蕩けそうな程に幸せな気持ちになる。


「美弥は、俺だけ見てればいいから」

「は、颯……」

颯は?と聞きたくなる。颯は、私だけを本当に見てくれるんだろうか。私で本当にいいんだろうか。

「美弥だけ見てる」

「え?」

「俺ってそんな信用ない?安心しろよ、本気だから」

心臓が、音を立てすぎて、きゅうっとなる。もう心臓は、とっくに颯に心ごと取られてしまったのかもしれない。苦しくて、ほんのりチクッとして、でも全然嫌じゃない。


ーーーーこれが『恋』


きっと、私はもう、颯に恋をしてる。

もしかしたら、コンビニで初めて見た時から、私は『23時の王子様』に恋に堕ちていたのかもしれない。
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