23時のシンデレラ〜ベッドの上で初めての魔法をかけられて〜
「北沢?」

思わずポップアップ通知にも目がいく。

『美弥、体調はどう?あと今度夜いつ空いてる?この間は再会できて嬉しかったよ』

(どう言うことだ……?)

美弥に聞いてもいいが、それよりも、北沢に先に会って聞きたい気持ちが大きかった。

もう一度ポップアップ通知に視線を流す。

送信元の登録名は北沢千歳。千歳なんて、そのへんに転がってる名前じゃない。同姓同名の別人とはまず考えにくい。

ーーーー俺の知ってる、あの北沢千歳だ。

じゃあ、あの北沢が、美弥を呼び捨てにするのは、それほど親しい間柄だという事なんじゃないだろうか?再会?元カレ?

「……じゃないよな」

美弥のキスの反応も、さっきの美弥の身体に触れた時の声も、初々しさしかなかった。

(明日は、朝一番、北沢呼び出しだな)

一気に眠気が吹っ飛んでいた。まさか自分が他の男から、それも北沢のメール一つでこんなに嫉妬するなんて、思いも寄らなかった。

「ヤバいな、マジで……」

自分の中で美弥の存在がどんどん大きくなって、目が離せない。いかに今までの女との関係が適当だったのか思い知らされる。

誰にも渡さない。渡したくない。

こんな気持ちは、初めてだ。今度もし、今日みたいに理性が飛んで、嫉妬まで絡むようなことがあれば、美弥がどんなに泣いても、やめてと言っても、俺は美弥の初めてを奪ってしまうんだろう。

「悪いけど、もう、離してやんないから」

美弥の頬に、唇を落としてから、俺は、ゆっくりと瞳を閉じた。
< 75 / 145 >

この作品をシェア

pagetop