23時のシンデレラ〜ベッドの上で初めての魔法をかけられて〜
「おはよう御座います」
「おはよう、綾乃さん、体調大丈夫?」
斜め向かいの席に腰掛けながら、千歳がふわりと微笑んだ。千歳は、今日は、紺色のスーツに、茶系のストライプのネクタイを合わせていて、長めの前髪を指先でさっと掻き上げた。
「あ、お陰様で……」
その一連の動作は、どれをとってもスマートだ。朝起きたら、千歳からラインが入っていたが、颯の手前、既読したまま、私は結局返信が出来ていなかった。
(千歳くんのライン、既読スルーになっちゃってるよね……)
「次からは、ナマモノは気をつけてね」
優しく微笑むと、千歳は特に気にした様子もなく、パソコンのキーボードを叩きはじめた。
「ほんと、美弥ちゃん、心配したんだよ、元気になって良かったね」
隣から、私に紅茶を差し出しながら、麻美がオレンジベージュの唇をぷるんとさせながら、ニコッと微笑んだ。
「あれ、美弥ちゃん、首怪我したの?」
麻美が、私の首筋に不自然に貼り付けてある絆創膏を指差した。
今朝、起きて、洗面所で顔を洗った私は、ビックリした。
ーーーー首元に真っ赤な薔薇のような痕が、くっきりとついていたから。