23時のシンデレラ〜ベッドの上で初めての魔法をかけられて〜
「どうでもいいけど、会社では伏せてるけど今、俺と美弥は婚約中で、同棲してるから」

北沢の瞳が大きく見開かれた。

そして、北沢の掌が、俺のネクタイを胸ぐらごと掴んだ。

「何すんの?」

「美弥に、何した?」

ギリっと首元が締め付けられたまま、俺達は互いの視線を外さない。

「美弥の首元、見ればわかんだろ、俺のモノだから」

北沢が、ぐっと奥歯を噛み締めてるのが分かった。

「どうせ1ヶ月程、遊びで抱いて捨てるだけでしょう」 

低く、その声色は、北沢の声とは思えないほどに、怒りと嫉妬を孕んでいる。

「勘違いすんな。美弥は、今までの女と違うから。本気だよ、俺」 

「美弥は、純粋なんで、遊びと本気の区別なんてつかないんですよっ!颯先輩のお遊びにっ」

「遊びじゃねぇって言ってんだよっ!」

北沢の言葉を遮って、怒鳴った俺を見て、北沢の瞳が僅かに揺れる。

北沢は、俺の手を振り払うと、握りしめていた俺の胸元から掌を離し、乱暴に俺をソファーの背もたれへと突き飛ばした。

「美弥だけは、颯先輩には渡せない」

「ただの幼なじみが、ふざけんなよっ」

「言いましたよね?僕、初恋の子が忘れられないって」

「え?……」

北沢はソファーから立ち上がると、俺を鋭い眼差しで見下ろした。

「僕の初恋の相手は美弥なんで。颯先輩には渡しませんから。必ず、美弥は僕のものします」

そのまま、北沢は、俺に背を向けて扉を閉めた。

「マジで……嘘だろ……」
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