23時のシンデレラ〜ベッドの上で初めての魔法をかけられて〜
「何?俺より北沢の方が良くなった?てゆうか、北沢が、好きなのか?」

ーーーー違う。千歳くんのことは、仲の良かった幼なじみで、久しぶりに再開して、嬉しくて、ほっとして、でも、私が千歳くんに対して抱いている気持ちは、颯とは違う。

「そんなこと……言ってないっ」

「じゃあ、美弥は誰の婚約者なんだよ!俺のだろっ!俺だけ見ろよっ!」

颯の瞳に見つめられたら、何もいえなくなる。

どうして、そう上から目線で、独占欲むきだしで、自分勝手で、口が悪くて、意地悪で、私のことなんて、どうせ本気じゃないくせに、そんな瞳をするの?

実花子と千歳の言葉が蘇る。

「……颯だって……婚約者いるじゃないっ、私なんて……どうせ……遊び」

続く言葉が、出ないほどに、颯が噛み付くようなキスをする。

「はや……ンンッ……」 

呼吸を僅かにするのが精一杯で、目尻に涙が滲んだ頃、ようやく唇が離された。

「何て?もう一回言えよ」 

颯が顎を持ち上げたまま、私の瞳を見つめる。

「……千歳くん……から聞いた……颯にはもう婚約者が……いるって」

「何で俺の言葉は、信じられない訳?」

「だって……」

ーーーー自信がないから。颯の隣に似合う女の子じゃないから。

「帰ったら、抱くから」

それだけ、言葉に吐いた颯は、強くアクセルを踏み込んだ。
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