green mist      ~あなただから~
 翌週の月曜日……

 今日は、良介君が銀行のロビーで霧吹きを手にしながら、観葉植物の鉢に刺してあるプレートの名前や育て方を読んでいる。解らない字はおじいさんに聞きながら覚えているようだ。まあ、私のいる時間だけなので、銀行の人達も大目に見てくれている。


「ランランラララ……」

 なんだか知らないが、アニメソングらしきものを良介が口ずさんでいる。

「どうしたの? 何かいいことでもあった」


「えへへっ。今日テストだったんだ。答えを記号でかくやつだけ全部書けたんだ。ねえちゃん、カタカナ教えてくれただろ? 前は、〇つけるやつしか出来なかったんだよ」


「そっかぁ。頑張ったもんね」

「うん。出来る事をやらないとね」

 自信満々に、腰に手を当てて言う良介が可愛かった。


「そうじゃ、そうじゃ、出来る事を頑張ればいい。行動すべし!」

 おじいさんが、良介くんの頭を撫でた。

 あれ? 誰かも言ってたな?


「何だか楽しそうですね?」

「時川さん。いらしていたんですね」

 思わず、笑みが漏れる。


「おじさん、月曜日だけ来ているよ」

「たまたまだ」

 うん? 時川さん、今、良介君を睨んだよね?


 車に荷物を積み込み終わると、ベンチで時川さんは良介くんにパソコンの入力を教えていた。

 水筒を持ってベンチに近づいた。


「アイスコーヒー持ってきたんですけど、いかがですか?」

 缶コーヒーでもいいが、好きなコーヒー豆を買ったので、いつでも飲めるように持ち歩いていた。

「いただきます」

 彼は、微笑んで頭を下げた。本当に柔らかい笑顔だと思う。
< 18 / 115 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop