green mist      ~あなただから~
 数か所に置いてある、パキラ、ガジュマル、ポトスをお客様の迷惑ならない、日当たりの良い場所にバラン良く置いた。手入れした道具をケースに終い終わると肩にかけて立ち上がった。

 窓口で管理記録書にサインをもらい、出口へと向う。
 大通りへ出ると、一台の白い車が横切った瞬間、胸がぎゅっとしめつけられた。嫌な感覚だ。先生と同じ車だった。大失恋から三か月、まだ、引きずっている。

 私が勝手に恋して、勝手に追いかけていただけだ。
 高校の時、教科担任だった体育の先生に恋をした。陸上部の顧問で、体格が良くて、スポーツマンで、いつも堂々としている姿が好きだった。強い人なんだと思っていた。理想の人だった。卒業してからもずっと追いかけていて、三か月前に、迷惑だとはっきり言われた。

 その時、初めて自分の我儘と、自分勝手な恋だったと知った。年の差や学歴とか容姿、身の丈に合ってないとは自分の事なのだと分かった。相手の迷惑など考えず、自分気持ちばかり優先させていたのだ。

 先月、先生は結婚した。

迷惑…… その言葉が頭から離れない。


 自分の恋も、自分の発する言葉も考えも、自信が持てない。


 「はあー」
 
 深くため息をついた。
 嫌な事を思い出してしまった…… 
 というより、ずっと、忘れられない…… 
好きになんてならなければ良かった……
 
< 2 / 115 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop