green mist ~あなただから~
彼女は帰ってしまうのかと思いきや、男の子とベンチに座って何やら話をし始めた。タブレットまで使い出した。
俺は、覚悟を決めベンチに近づいた。
「何をしているのですか?」
彼女が驚いた顔を上げた。男の子も顔を上げたが、チラッと俺を見ると、明らかに嫌そうな顔をした。
「あっ、時川さん。字を練習しているというか…」
彼女が事の成り行きを、ざっくりと話してくれた。面倒臭い事に巻き込まれなきゃいいがと思うが、彼女は放っておけないのだろう。
どうしたものかと考えたが、このままだと、このベンチは、この良介という子供に奪われてしまう気がした。何かいい方法はないか考え、鞄からノートパソコンを取り出した。
キーボードの入力を試してみる。意外に覚えが早い。大学の友人の息子がLDと話していた事を思い出した。状況が良く似ている。
だからと言って、他人に何が出来るのかは慎重に考えなければならない。ただ、確実に言えるのは、彼女がかかわる事が、あの少年にとっての味方であり、自信に繋がっているのだ。まあ、俺にはここに居る口実が出来たのだが。
そんなこんなで、月曜日に銀行へ行くと、じーさん、あの子供と必ず遭遇する。
「なあ、あのじいさん毎日来ているのか?」
たまりまりかねて、後輩の金田に聞いてみた。
「ああ。毎日じゃないですよ。月曜日だけ。それなりに銀行の用事も済ませていますけどね」
「えっ? 月曜日だけ?」
「グリーンミストさんが目当てだと思いますよ。なんとなく、月曜日のこの時間は客が多いんですよね。最近じゃ、小学生まで来ますから」
金田が目を向けた入口を見ると良介が入ってきた。明らかに俺をチラッと見て、嫌そうな顔をした。彼女の前では、いい子で勉強を教わっているのに。なんだ、あの目は?
「銀行としたら、迷惑じゃないのか?」
「別に、彼女が来ると、植物を手入れしているせいか、なんか空気が潤うんですよね。童話のお姫様のワンシーンでも見ている気がして、癒されるっていうか。そういう人多いと思いますよ。少なくとも、うちの若い職員は、ニヤニヤしていますしねぇ」
あらためて周りを見渡すと、ちらちらと彼女を見ている、男が数人いた……
なんだ、これ。俺だけが、気にしているって事じゃないのか? なんだかモヤモヤする。
俺は、覚悟を決めベンチに近づいた。
「何をしているのですか?」
彼女が驚いた顔を上げた。男の子も顔を上げたが、チラッと俺を見ると、明らかに嫌そうな顔をした。
「あっ、時川さん。字を練習しているというか…」
彼女が事の成り行きを、ざっくりと話してくれた。面倒臭い事に巻き込まれなきゃいいがと思うが、彼女は放っておけないのだろう。
どうしたものかと考えたが、このままだと、このベンチは、この良介という子供に奪われてしまう気がした。何かいい方法はないか考え、鞄からノートパソコンを取り出した。
キーボードの入力を試してみる。意外に覚えが早い。大学の友人の息子がLDと話していた事を思い出した。状況が良く似ている。
だからと言って、他人に何が出来るのかは慎重に考えなければならない。ただ、確実に言えるのは、彼女がかかわる事が、あの少年にとっての味方であり、自信に繋がっているのだ。まあ、俺にはここに居る口実が出来たのだが。
そんなこんなで、月曜日に銀行へ行くと、じーさん、あの子供と必ず遭遇する。
「なあ、あのじいさん毎日来ているのか?」
たまりまりかねて、後輩の金田に聞いてみた。
「ああ。毎日じゃないですよ。月曜日だけ。それなりに銀行の用事も済ませていますけどね」
「えっ? 月曜日だけ?」
「グリーンミストさんが目当てだと思いますよ。なんとなく、月曜日のこの時間は客が多いんですよね。最近じゃ、小学生まで来ますから」
金田が目を向けた入口を見ると良介が入ってきた。明らかに俺をチラッと見て、嫌そうな顔をした。彼女の前では、いい子で勉強を教わっているのに。なんだ、あの目は?
「銀行としたら、迷惑じゃないのか?」
「別に、彼女が来ると、植物を手入れしているせいか、なんか空気が潤うんですよね。童話のお姫様のワンシーンでも見ている気がして、癒されるっていうか。そういう人多いと思いますよ。少なくとも、うちの若い職員は、ニヤニヤしていますしねぇ」
あらためて周りを見渡すと、ちらちらと彼女を見ている、男が数人いた……
なんだ、これ。俺だけが、気にしているって事じゃないのか? なんだかモヤモヤする。