green mist ~あなただから~
彼女が片付けを始める様子が目に入り、俺も書類を纏めて鞄にしまった。
フロワーに出ると、彼女の荷物を良介が当たり前のように持ち、俺を見て勝ち誇ったようにニヤリとした。
絶対、今、俺を挑発したよな!
荷物を片付けた彼女が、俺と良介の座るベンチに近づいていきた。いつもの事なのだが、今日は水筒を持っていた。
「時川さん。いらしてたんですね」
彼女が俺に声をかけてきた。
「おじさん、月曜日だけ来ているよ」
お前が何で答える。余計な事、言うな。
「たまたまだ」
俺は、良介を横目で睨んだ。
彼女は、良介にジュース、俺にコーヒーを注いでくれた。なんやかんや言っても、このひと時をひそかに楽しみにしている。
他愛もない話が今日も始まると思っていたのだが、彼女は何か言いたげな目をきょろよろと動かしている。
「あー えっと。時川さんは、おいくつなのでしょうか?」
ああ、年齢ね。実のところを言えば、俺だって彼女の年は気になっていた。それだけじゃない、他にも知りたい事はある。
「ああ、僕ですか。三十四才になりましたよ」
この年齢を彼女がどう捉えるか、内心おどおどしているが嘘をついても仕方ないのでさらっと答えてみた。
「ええ! もっと若いかと思いました。結婚していらっしゃるんですか?」
「なかなか縁がなくて…… 独身です」
確かに、この年ななら結婚している奴も多い。指輪のない事をアピールするように、手のひらをヒラヒラさせてみた。どさくさに紛れて、彼女の年齢も聞いてみよう。
「失礼ですが、水野さんはおいくつですか? まだ、お若いですよね」
「あっ。二十二です。未熟者でして……」
聞きたいと思っていた事なのに、いざ知らされると現実を突きつけられた気がした。おれなんか、おじさんにしか見えないよな。
「あははっ でも、どうして年齢をお聞きになったんですか?」
落ち込んだのを悟られないよう、それとなく聞いただけなのに、帰ってきた言葉に、頭の上から泥が降ってきたかと思った。
「えーっと。合コンがあるんです。同じ年の人達らしくて。ちょっと、年齢とかが気になって……」
どういう意味だよ、それ。何故、俺に歳の事を聞いた? 弁護士などという職業をやっているが、全くもって、今、何をどう答えたらいいかわからない。
「そ、そうなんですね…… いつ合コンなんですか?……」
聞いてどうする?
俺の頭の中の整理がついていないというのに、彼女は立ち上がってしまった。しかも、俺とは目も合わせず、良介だけに手を振って行ってしまったのだ。
フロワーに出ると、彼女の荷物を良介が当たり前のように持ち、俺を見て勝ち誇ったようにニヤリとした。
絶対、今、俺を挑発したよな!
荷物を片付けた彼女が、俺と良介の座るベンチに近づいていきた。いつもの事なのだが、今日は水筒を持っていた。
「時川さん。いらしてたんですね」
彼女が俺に声をかけてきた。
「おじさん、月曜日だけ来ているよ」
お前が何で答える。余計な事、言うな。
「たまたまだ」
俺は、良介を横目で睨んだ。
彼女は、良介にジュース、俺にコーヒーを注いでくれた。なんやかんや言っても、このひと時をひそかに楽しみにしている。
他愛もない話が今日も始まると思っていたのだが、彼女は何か言いたげな目をきょろよろと動かしている。
「あー えっと。時川さんは、おいくつなのでしょうか?」
ああ、年齢ね。実のところを言えば、俺だって彼女の年は気になっていた。それだけじゃない、他にも知りたい事はある。
「ああ、僕ですか。三十四才になりましたよ」
この年齢を彼女がどう捉えるか、内心おどおどしているが嘘をついても仕方ないのでさらっと答えてみた。
「ええ! もっと若いかと思いました。結婚していらっしゃるんですか?」
「なかなか縁がなくて…… 独身です」
確かに、この年ななら結婚している奴も多い。指輪のない事をアピールするように、手のひらをヒラヒラさせてみた。どさくさに紛れて、彼女の年齢も聞いてみよう。
「失礼ですが、水野さんはおいくつですか? まだ、お若いですよね」
「あっ。二十二です。未熟者でして……」
聞きたいと思っていた事なのに、いざ知らされると現実を突きつけられた気がした。おれなんか、おじさんにしか見えないよな。
「あははっ でも、どうして年齢をお聞きになったんですか?」
落ち込んだのを悟られないよう、それとなく聞いただけなのに、帰ってきた言葉に、頭の上から泥が降ってきたかと思った。
「えーっと。合コンがあるんです。同じ年の人達らしくて。ちょっと、年齢とかが気になって……」
どういう意味だよ、それ。何故、俺に歳の事を聞いた? 弁護士などという職業をやっているが、全くもって、今、何をどう答えたらいいかわからない。
「そ、そうなんですね…… いつ合コンなんですか?……」
聞いてどうする?
俺の頭の中の整理がついていないというのに、彼女は立ち上がってしまった。しかも、俺とは目も合わせず、良介だけに手を振って行ってしまったのだ。