green mist      ~あなただから~
 「これを見るんですか?」

 彼が、映画館のパネルをじっと見ていた。

「はい!」



「きゃああああーー」
「うわーーー」
「ギヤあーーーー」
「きたきたきたきた!」
「ひょえーーーー」
「だめだめだめ!」
「うぎゃああああっ」

 あらゆる悲鳴が飛び交った……

 エンドロールが流れはじめた時にはぐったりだった。
 辺りが明るくなり、皆が席を立ち始めた。

「なぜ、この映画を……」

「だって…… このシリーズ好きなんです。最新作は絶対映画館で見たいと思っていたんです。ジャングルの木がいっぱいで。緑が多くていいかなと?」

「他にも、木や緑がたくさんの映画はあるかと……」

 そんな会話をしながら、彼は私の手をぎゅっと握って、彼も私の手をぎゅっと握っていた。映画の途中で、恐怖のあまり咄嗟に手を握ってしまったようだ。

「あっ……」

 手を握っていた事に気付き、お互いそっと離した。彼の手、大きくて男らしかったな。ちょっと、離れるのが寂しかったりして……


「食事にしましょうか?」

 今は一時を過ぎたところで、お腹も空いてきた。ショッピングモールに併設した映画館であり、食事するところもたくさんある。

「あちらのレストランでいかがですか?」

 彼が指さしたのは、吹き抜けの二階に見えるレストランだ。

「はい」
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