green mist      ~あなただから~
 「せっかくショッピングモールに来たので、買い物されますか?」

 「ええ! いいんですか? 欲しかった物があるんです」

 時川さんと買い物出来る事に、飛び上がって喜んでしまいそうな自分を必死で押さえた。


「もちろん。お付き合いしますよ」

「ありがとうございます」

 エスカレーターを降りて、ショッピングフロワーに向かう。

「あの、トイレに行ってきます」

 食事の後だ、身だしなみを整えなければ。

「はい、あちらで待っていますね」

 彼がトイレから少し離れた、待合スペースを指さした時だ、辺り一面に、甘い香りが漂った。

「あら、時川くんじゃない?」

 彼と私、同時に振り向いた。


「ああ、宮野」

 そこには、ファッション雑誌から抜け出したような、綺麗な女性が立っていた。

「こんなところで、珍しいわね。あら、こんにちは」

 彼女は、誰が見ても美しいと思うだろう笑顔を向けてきた。

「こんにちは」私も頭を下げる。

 私の感だが、この人も弁護士だと思う。知的の高さが、漂っている。


「可愛らしい子連れているじゃない。時川くんに、何かされたら遠慮なく言ってね。弁護するから。うふっ」
 
 やっぱり弁護士さんか。大人の余裕が漂っている

「バカな事いうなよ。買い物か?」


 時川さん、タメ口だ。私にはいつも敬語だよね。

「私、トイレ行ってきますね」

 彼に告げると、トイレへと向かった。
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