green mist      ~あなただから~
 彼女はいつものデニムにTシャツではなく、ノースリーブのシャツにミニスカートだった。目から火が出るかと思った。いくらんでも、合コンに気合入れすぎだろ。

 偶然にも俺の座る位置から、彼女たちのテーブルの様子が見える。横顔だが彼女の笑っている姿が見えて、会話の内容が気になってきた。

 トイレに行く振りをして、彼女たちのテーブルに近づいた。

 うん? 弁護士志望という声が入って来た。 思わず、その男の顔を見たが、とても弁護士になるような顔をしていない。これは、あくまでの俺の偏見だが。だいたい、弁護士になるなら、合コンなんてしていないで勉強しろよ!

 少し苛立ちながら自分の席にもどった。

「お前さあ、俺に話した事の重大さを分かっているよな? 目的が別にあったりしないか?」

「何を言ってるんだ。真剣に考えての事だ。もちろんお前の立場も理解している」と、口は動くが、目が遠くのテーブルを追ってしまう。

「まあ、安易に口にするような奴だとは思っていないが…… そんなに気になるなら、早く行けよ!」

「何処へ?」

 
「さっきから。チラチラ気にしているだろ? 可愛い子じゃないか?」

「バ、バカいうな? 何の事だよ?」

 焦って、口に含んだビールを噴き出しそうになった。


「まあ、引き抜きの話は、もう少し考えるよ。お前が冷静な時にな。彼女、トイレに行ったぞ? いいのか? あんな軽そうな男供に持ち帰られても?」

 矢沢が、ニヤリと笑ったのが分かった。

「うっ……」

 矢沢を見ずに、黙って立ち上がった。

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