green mist      ~あなただから~
 ずーっと、頭から離れない。

 新しい案件が入ってきて、やる事だらけなのに、頭から離れない。このままでいいんだろうか?

 本当は、何度も彼女に連絡しようと思ったが、程よい言葉が見つからずに日々が過ぎてしまった。

 そして、先ほどから、机の上の書類を持ったり置いたり。銀行に見せる書類だが、特に持って行く必要もないが、今日は月曜日で……

 人手の少ない事務所で、やる事は山積みだ。こんな要件で銀行に行っている時間はないのは分かっている。

 矢沢の言う通り、俺があれこれ気にしすぎなのかもしれない。

 うっ……
 書類を手に取ると、上着を羽織った。


 この時間なら、彼女はまだ銀行にいるかもしれない。
 何を話す?
 いつも通りでいい。それ以上は望まない。


 書類を担当者に確認していると、慌ただしい足音が聞こえてきた。
「時川先輩、すぐ来て下さい」
 金田が、もの凄い勢いで走ってきた。金田の後を追うと。


「早く、早く、弁護士のおじさん呼んで! 姉ちゃんが!! おじさんの車あるから、居るはずなんだよ!」

 良介の泣き叫ぶ声が、フロワーに響きわたっている。ただ事じゃない。

「どうした! 落ち付け良介!」

 俺の顔を見るなり、良介が走りだした。その後を追う。


 裏口から外に出ると、ビルの隙間の方へ向かって走った。嫌な予感がする。

「助けて!」

 間違いない、彼女の声だ。
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