green mist      ~あなただから~
 俺は良介を追い越し、声のした建物の隙間に入り込んだ。

 その光景は、腹が煮えくり返るほどの恐ろしいもので、

「何やってんだ!」

 彼女の口を塞ぐ男の腕を掴むと、背中に担ぎ上げて地面に叩きつけた。

「てめえ、何やってんだ!」

 男の襟ぐりを掴んで。顔を持ち上げて見た。
 あー。あの時の弁護士志願とか言ってた奴だ。頭にカーっと血が上って、こぶしを上げたが……

「警察呼びましたから!」

 金田が、俺の腕を掴んだ。後ろについてきた銀行員が、俺に代わってその男を押さえつけた。
 それでも、俺はその男を殴りたかった。


「ねえちゃん! ねえちゃん! しっかりして!」

 良介の泣き叫ぶ声に、彼女の元へ走った。
 彼女の崩れ落ちる姿に、胸の中が張り裂けそうになった。


「もう、大丈夫だ……」

 彼女の体を支える。


 だが、彼女は、視線の定まらない目を向けると、そのまま気を失ってしまった。

「香音! 香音!」

 俺は、彼女を抱きしめ、叫んでいた。
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