green mist      ~あなただから~
 どうして、こんな目に……

 あのまま、良介が気が付かなかったらと思うと、体中が震えてくる。あの男を、殴り殺したって治まらない。
 救急車の中で、彼女の手を握りながら、取り返しのつかない事にならなくて良かったと思うと、泣きそうになった。

 病院に着いて彼女が治療室に入ると、すぐに金田が来た。良介も連れている。どうしても来ると聞かなかったらしい。警察も事情を聴きたいとやってきた。


 俺は、良介の前に座り頭をなでた。

「本当に、ありがとう……」

「今日、運動会の練習で、下校が遅くなって…… 銀行に来たら、ねえちゃんの車あるのに、いなくて…… 裏口のパキラを見ていると思って行ったら、ねえちゃんの後を、変な男が付けていて…… でも、僕…… 怖くて…… おじさんの車あったから…… ヒック……」

 泣きながら一生懸命に、警察官に説明している。良介も、自分の証言が、重要だと思って必死なのだと思う。

「おじさん…… ねえちゃんが……」

 泣きながら、良介が抱きついてきた。

「お前の選択は正しかった。お前のおかげで、ねえちゃんは助かった。たいした奴だ!」


 そう…… 良介は、いつも真っすぐに、彼女の後を追っていた。だから、彼女の危険にも気付けたのだと思う……

 それに比べて俺は……
 何をやっていたのか? 情けない……

 こんな目にあって、やっと彼女の大切さに気付くなんて……
 そして、大事な事は何なのか……


 良介は心配そうに何度も彼女の眠る姿をのぞき込んでいたが、金田が連絡して迎えに来た両親に説得され帰って行った。
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