green mist      ~あなただから~
 数日後……

「本当にご迷惑おかけしました」

 深々と頭を下げている彼女がいるのは銀行だ。
 どうしても、迷惑かけた銀行に人達に、お礼をしたいというので一緒に来たのだ。

「そんな、水野さんが謝る事じゃないですよ。本当に、あの男、許せないです。」

 金田も、怒りを隠せないようだ。

「あの時、助けて頂けた事に、感謝でいっぱいです」

「本当に無事でよかったです」

 窓口の女性たちも、涙交じりに彼女のそばに集まって来た。

「もう、あんな人気のない建物の間なんて、通らないで下さいね」

「はい。もう、あんな怖い思いは……」

 本当に勘弁してもらいたい。


 あの男に関しては、暴行罪にならず未遂でどう罰せられるのかは分からないが、どうも、他にもなにやらかしているらしく、当分は釈放されないだろう。だが、彼女には、こんな事件など忘れて、安心した日常を取り戻して欲しい。とは言え、彼女にも危機感を持って行動してほしいというのも本音だ。  

「そろそろ行こう」
  
 銀行の職員達との話が続いているが、皆も仕事中だ。 

「何処に行くんですか?」

 金田が、不思議そうに聞いてくる。

「ああ、良介の所にな。どうしてもお礼に行きたいというから……」

「あの小学生か? 本当に必死でしたよ。あの子が居なかったらとおもうとぞっとする。でも、なんで先輩も一緒に行くんですか?」  

「別にいいだろ?」

「ふ~ん。そういう事か。先輩のあんな怖い姿、はじめて見ましたよ」

 金田が意味ありげに俺の方を見た。


「お待たせしました」 

 彼女が、皆に手を振って近づいてきた。

「私達も、植物達も待っていますから」 

 職員達も手を振り返した。

 少し、彼女の表情が明るくなったような気がする。


「少しだけ、鉢植えの様子見てもいいですか?」

「もちろん」

 俺は、フロワーの植物を見て回る彼女を、ただ、ずっと見ていた。


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