green mist      ~あなただから~
 うわー 広い!
 大きな窓に向かって、ベージュのおしゃれなソファーが並んでいる。テレビで見る、ホテルのスィートルームみたいだ。

「好きなところに座って」

 彼は、そう言うと、どこかに行ってしまった。


 とりあえず、ソファーの端っこに座った。何処を見たらいいのか分からず窓の方へ目を向ける。

 彼は、さりげなく自分の部屋に私を入れたが、いつもこんな風に女性を家に入れるのだろうか? 彼は大人なのだ、当然そんな経験はいくらでもあるだろう?

 それに比べ私は、男の人の部屋に入ったのなんて初めてだ。正直、彼氏なんていた事がない。もしかして、こんなに簡単に男性の部屋に入るのは、間違いだったのではないだろうか? 簡単に、男の人の部屋に入ってしまうような、軽い女だと思われてしまったかもしれない。


 だからと言って、今更帰るわけにも……
 どうしよう……

 さっき買ったアイスもテーブルに置いたままだ。冷凍庫に入れた方がいいと思うが、勝手に冷蔵庫を開けてもいいものだろうか……

よく考えてみれば、彼からの告白を受けて付き合う事になったようだが、全くその自覚が持てていない……

 あーだこーだと考え過ぎて、頭の中がしっちゃかめっちゃかだ。

「おまたせして、ごめん」

 彼が、リビングに戻ってきた。部屋着に、着替えてきたらしい。

「いいえ」

「スーツだと、リラックスできなくて。アイス、溶けちゃうね。食べようか?」

「あっ。はい」



 彼が袋から、アイスとスプーンを出して手渡してくれた。彼も隣に並んで、アイスを食べる。


「ごめんね。急に、家になんて誘ってしまって……」

「すみません。私も、そのまま付いて来てしまって……」

 なんか緊張する。
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