green mist      ~あなただから~
「いや、その…… したっていうか……」

「いいから、ちゃんと言って……」

「あの…… 宮野さん…… 綺麗で頭の良さそうな方だなと…… それに、時川さんと仲よさそうだし……」

 まだ言い終わらないうちに、目の前が暗くなって、ふっといい匂いがした。彼に抱きしめられていると気づくまでには、少し時間がかかった。


 うわー うわー どうしよう?


「なんだ、そんな事だったのか…… あはははっ」

 良く分からないが、彼は、嬉しそうにぎゅうぎゅうと抱きしめてくる。


「時川さん、苦しいです。一人で納得していないで下さい。結局、宮野さんとはどういうご関係なんですか?」

「ああ、ごめん、ごめん。宮野は、前の職場の同僚。それだけだよ」

「そうですか……」


「あはははっ。僕だけが、いつもモヤモヤしているんだと思っていた」

「どういう意味ですか?」

「君の周りは、子供から年寄りまで、男が大勢だから。いつも、落ち着かなくて」

「そんな風には見えませんでしたよ。それに、おじいさんと良介くんじゃないですか? 何が心配なのかわかりません」


「そんな事はない。良介なんて、君にプロポーズしたじゃないか」

「はい、はい」

 子供のプロポーズにやきもきするんなてと、ちょっと呆れて返事をした。


「もう少し、危機感もってくれよ」

「はあ?」


 彼の顔を見ると、本当に困った顔をしていて、思わず笑ってしまった。
 彼も一緒に笑いだした。こんな時間がずっと続けばいいな。


 すると、彼の手がそっと私の頬に触れた。驚いて、顔を上げた瞬間、唇に柔らかい感触が伝わった。

 キス? 
 と、実感した時には、彼の唇は離れていた。

 でも、彼の顔はまだ近くにあって、額に彼の額がコツンとあたる。彼と目が合うと、今度は、さっきより強く唇が重なった。


 これがキス?と、考えたのは一瞬だけで、息が出来ないほど苦しくて……

 彼と触れてる…… それだけで、幸せだ…… 
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