green mist      ~あなただから~
 正直、思ったより彼の仕事はハードだった。でも、新しく弁護士さんが入るまでの間だから、ずっとこんな生活が続くわけではないと言っていた。

 それでも、食事だけはちゃんと食べて欲しい。いくら今だけだと言っても、この忙しだでは体が心配だ。


 彼の仕事のきりの良いところで、ハンバーグを食べる事が出来た。バランスよく作った食事をあっという間に平らげて、すぐに仕事に戻ってしまった。

 食事を済ませて帰ろうかと思ったが、夜遅くに帰ると、彼は送ると言い出す。迷惑はかけたくないから、今夜は泊まる事にした。


 時計は十二時を回った。これ以上起きていると、彼が心配する。調べものをしていたパソコンを閉じた。


 寝室に入る。彼に抱かれた日の事を思い出す。あれから、何度かこの部屋に泊まったが、彼がベッドに入るのは朝方だ。そして、すぐに仕事に戻ってしまう。
 ちょっと寂しいなぁ。でも、彼のベッドで待てる事が嬉しくて、布団の中で一人でにやけてしまった。



 スマホのアラームが鳴り手を伸ばした。体を横に向けたが、ベッドには彼の姿が無かった。
 徹夜だったのだろうか……

 寝室を出て、書斎をノックするが返事がない。
 そっと、ドアを開けると、椅子の背もたれに体を預けて目を閉じている彼の姿があった。出来れば、ベッドで休んで欲しいが、起こしてしまったら、また仕事を始めてしまうだろう。

 眠っている彼の体にブランケットをかけた。デスクの上の資料に目を向けるが、私にはさっぱり理解できない文字が並んでいる。
 私が、もっと賢くて、法に関する仕事が出来る人間だったら、もう少し彼の役に立てたかもしれないのに…… 
 今は、迷惑かけない事で精一杯だ。情けない……


 せめて、消化が良くて栄養になるものを食べて欲しいと思い、買い物に行く事にした。


 食材を抱てマンションに戻ると、彼が書斎から出て来たのだが、明らかに顔色が悪い。


「起こしてしまいましたが? もう少し休んだほうが? 顔色悪いですよ?」


「そうか? 大丈夫だよ。二、三日徹夜したって、どうって事ないから……」


 いや、そんな事はない。


 彼は、ふらふらと歩き出したが、バタッと音を立てて倒れた。


「真央さん!」
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