green mist      ~あなただから~
「真央さん!」

「ああ…… ここは?」

「倒れたんですよ! 過労です。無理しすぎたんですよ……」

 目から溢れそうになる涙を堪えて言った。


「ごめん…… 大丈夫だよ」

 点滴をしている腕が伸びてきて、頬に優しく触れる。

「おーい。どうせ、徹夜が続いていたんだろ?」


 後ろに立っていた矢沢さんが、呆れたように言った。


「ああ? なんで矢沢がいるんだ?」

「なんで、って事はないだろ? お前の大事な水野ちゃんが、泣きながら電話してくるから、駆けつけたのに」

「香音、どこに電話したんだ?」

「名刺の事務所の電話番号です」

「なんで、お前が出るんだ?」


「ああ、オフィスの整理をしていたらさ、事務所の電話が鳴るもんだから、出てみたら、水野ちゃんだったってわけ」


「そうじゃなくて、どうして、お前が事務所にいるんだよ?」


「ああ、言ってなかったっけ。来週から、お前の事務所に移る事にしたんだ」

「はあ? 聞いてないぞ!」

「お前が来いって言ったんだろ? そういう訳だから、取り合えず急ぎ仕事は俺が引き継ぐ。少し休め」


「来るなら、もっと早く来い」

 そんな憎まれ口を叩いているが、彼はほっとした表情を見せた。

「良かったぁ……」

 私の口から、勝手に漏れていた。


 すると、病室の入口のドアが、ノックもせずにいきなり開いた。

「真央! 倒れたって本当なの!」


 薄いグリーンのスーツ姿の女性と、人の良さそうなおじさんが勢いよく入って来た。人目で、彼の両親だと分かった。
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