green mist      ~あなただから~
 「何? 言ってみて……」

 彼がのぞき込むようにして言った。

「あ、あの…… そ、その…… 他の女の人と、お見合いととかしないで下さい! 私の事が嫌いになったら、ちゃんと言って下さい。」

 上手く伝わっただろうか? 彼が見合いする事なんて、想像もしたくない。彼がすきなのは、私だけだって思いたい。
すると、彼の暖かい匂いにぎゅっと包まれた。

「見合い? そんなものするわけないだろ。 僕がどれだけ香音を好きか分かっていないみたいだな」

 彼の顔を見上げた私の唇が塞がれた。

「ベッドいく?」

 彼の甘い声が、耳元で囁かれる。とろけそうになった脳裏を必死で奮い立出した。


「何言ってるんですか? 退院したばかりですよ! ちゃんと休んで下さい」

 両腕を伸ばし、彼の体をぐーっと押しのけた。そりゃ私だって彼に甘えたい。だけど、今は彼を休ませる事が優先だ。

「あははっ。やっぱりだめか」

 残念そうに顔を顰めてソファーに戻って行く彼が、なんとも可笑しかった。そして何よりも、元気そうな彼の表情にほっとした。


 お見合いの事は不安だったが、彼がしないと言っているのだから大丈夫…… 私は、この先どんな事も、彼を信じて乗り越えていくための約束が欲しかったのだと思う。
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