結婚契約書に延長の条文はありませんが~御曹司は契約妻を引き留めたい~
「!!!!」
蹴ろうとした香津美の右足を篝の硬い両脚が挟む。
驚いて彼の方を見ると、肘を突いてその手を顎に乗せている。
挟み込んだ脚をぐいっと引っ張られる。そして机の中に隠した手でその足を撫でた。
今日の香津美はスカートの部分がプリーツになっている紺のノースリーブのワンピース。
それにレース編みの白のカーディガンを羽織っている。
脚は素足にサンダルなので、手が直に肌に触れる。
「あ、あの・・」
「あら、どうしたの香津美さん」
香津美の表情が凍り付いたのに気づいて、美幸が声を掛ける。
「あ、いえ・・」
「色々とバタバタと進むのでちょっと困惑しているようです」
そう言いながらも篝は香津美の素足に指を這わせる。
ぞくりとした震えが彼女の体を走り、きゅうっと膝の上に置いた手を握りしめた。
「じゃあ、そろそろ我々が退散しようか」
光太郎が会食の解散を告げ、皆がそれに同意して席から立ち上がった。
「お前達はどうすんだ?」
まだ脚を掴まれたまま立ち上がれないでいる香津美と、彼女の脚を堪能している篝に光太郎が尋ねた。
「私たちはもう少しここに残ります」
篝がそう言うと、光太郎は何かを我慢している香津美にちらりと視線を向けて、「まあ、若い者同士、後はゆっくりしなさい」と言って最後に出て行った。
「か、篝さん!」
パタンと光太郎が扉を閉めて二人だけになると、パンと香津美は彼の手を払い除け、脚も引き抜いた。
篝はあっさりと手を引き、脚も移動させる。
「何か?」
「な、何かじゃ無いでしょ! み、皆がいる所で」
「先に脚を出してきたのは君だ」
「だ、だってあなたが次から次へと勝手に話を進めるから」
「俺はただ、祖父母の希望を叶えようとしたたけだ」
二人きりになると篝は「私」から「俺」に一人称を変えてきた。これが彼の素で、さっきまでのがビジネス仕様だったらしい。
「お、おじい様、きっと何か勘づいていらっしゃったわ。は、恥ずかしくて次から顔を会わせられないわ」
「何故? 俺たちは結婚する。今の時代結婚まで何もないのも珍しい。というより、そういう相性も先に知っておく方がいいと思うけど」
「な、何の相性ですか!」
「今更、知らない振りはよそう」
ぐいっと引き寄せられ、唇を奪われた。
会うのは三度目。そしてそのたびにキスをされている。
篝のキスはいつも突然で、香津美は不意を突かれてばかりだ。
「や、やめて!」
香津美が胸を押すと、今回は意外とあっさり体を離してくれた。
「わ、私が望まなければしないって、いいましたよね」
「キスは許容範囲だったと思うが」
「だ、だからって毎回毎回しなくても」
「君とのキスが好きなんだから、仕方ないじゃ無いか。俺の活力の素だと思ってさせてほしい」
「は?」
意味がわからない。何が活力の素なのよ。
篝は香津美の心を掻き乱す天才だ。
「俺は君とキスした夜はいつも夢でもう一度君とキスをする。君は? 思い出したりしない?」
「な、なにを・・」
何てことを言うのだ。そんなわけないと言おうとして、喉が張り付いたかのように何も言えない。
夢に見ることは無くても、鏡を見て自分の唇を目にした時など、ふとした折に篝とのキスを思い出していた。
「君って嘘も誤魔化しも下手だね。それが君の魅力であり弱点だ。考えていることがすぐにわかる。俺との結婚も素直に『うん』と言わなくても、嫌だと思っていないことはすぐにわかった」
見透かすような篝の視線と言葉に香津美は体温がカアーッと上がるのを感じた。
目を見ると心の奥まで覗き込まれそうで、顔を逸らしきゅっと目を瞑る。
「だめだよ。そんな風にしても、もう逃がさないから」
そんな香津美の髪を掻き上げ耳を掴む。指が耳たぶを押し潰し、耳の裏を撫でられる。
「や、やめ・・」
「耳、弱いんだ。ここも性感帯だって、知ってるよね」
「そ、そんなこと・・」
耳元で息を吹きかけられ、背中をぞくぞくとしたものが駆け抜ける。
その時、篝の胸元の携帯が震えた。
「あ・・」
食事中に鳴ってはいけないとバイブにしていたらしい。
「チッ」
と舌打ちして篝が携帯に応対する。
助かったと、香津美は詰めていた息を吐いた。
でもこれが今だけなのは彼女もわかっていた。
当初篝は、香津美が望まないなら夜の夫婦生活はないと言っていたが、今のような猛攻が続けば、いずれ香津美が根をあげて受け入れてしまうだろう事は容易に想像できた。
蹴ろうとした香津美の右足を篝の硬い両脚が挟む。
驚いて彼の方を見ると、肘を突いてその手を顎に乗せている。
挟み込んだ脚をぐいっと引っ張られる。そして机の中に隠した手でその足を撫でた。
今日の香津美はスカートの部分がプリーツになっている紺のノースリーブのワンピース。
それにレース編みの白のカーディガンを羽織っている。
脚は素足にサンダルなので、手が直に肌に触れる。
「あ、あの・・」
「あら、どうしたの香津美さん」
香津美の表情が凍り付いたのに気づいて、美幸が声を掛ける。
「あ、いえ・・」
「色々とバタバタと進むのでちょっと困惑しているようです」
そう言いながらも篝は香津美の素足に指を這わせる。
ぞくりとした震えが彼女の体を走り、きゅうっと膝の上に置いた手を握りしめた。
「じゃあ、そろそろ我々が退散しようか」
光太郎が会食の解散を告げ、皆がそれに同意して席から立ち上がった。
「お前達はどうすんだ?」
まだ脚を掴まれたまま立ち上がれないでいる香津美と、彼女の脚を堪能している篝に光太郎が尋ねた。
「私たちはもう少しここに残ります」
篝がそう言うと、光太郎は何かを我慢している香津美にちらりと視線を向けて、「まあ、若い者同士、後はゆっくりしなさい」と言って最後に出て行った。
「か、篝さん!」
パタンと光太郎が扉を閉めて二人だけになると、パンと香津美は彼の手を払い除け、脚も引き抜いた。
篝はあっさりと手を引き、脚も移動させる。
「何か?」
「な、何かじゃ無いでしょ! み、皆がいる所で」
「先に脚を出してきたのは君だ」
「だ、だってあなたが次から次へと勝手に話を進めるから」
「俺はただ、祖父母の希望を叶えようとしたたけだ」
二人きりになると篝は「私」から「俺」に一人称を変えてきた。これが彼の素で、さっきまでのがビジネス仕様だったらしい。
「お、おじい様、きっと何か勘づいていらっしゃったわ。は、恥ずかしくて次から顔を会わせられないわ」
「何故? 俺たちは結婚する。今の時代結婚まで何もないのも珍しい。というより、そういう相性も先に知っておく方がいいと思うけど」
「な、何の相性ですか!」
「今更、知らない振りはよそう」
ぐいっと引き寄せられ、唇を奪われた。
会うのは三度目。そしてそのたびにキスをされている。
篝のキスはいつも突然で、香津美は不意を突かれてばかりだ。
「や、やめて!」
香津美が胸を押すと、今回は意外とあっさり体を離してくれた。
「わ、私が望まなければしないって、いいましたよね」
「キスは許容範囲だったと思うが」
「だ、だからって毎回毎回しなくても」
「君とのキスが好きなんだから、仕方ないじゃ無いか。俺の活力の素だと思ってさせてほしい」
「は?」
意味がわからない。何が活力の素なのよ。
篝は香津美の心を掻き乱す天才だ。
「俺は君とキスした夜はいつも夢でもう一度君とキスをする。君は? 思い出したりしない?」
「な、なにを・・」
何てことを言うのだ。そんなわけないと言おうとして、喉が張り付いたかのように何も言えない。
夢に見ることは無くても、鏡を見て自分の唇を目にした時など、ふとした折に篝とのキスを思い出していた。
「君って嘘も誤魔化しも下手だね。それが君の魅力であり弱点だ。考えていることがすぐにわかる。俺との結婚も素直に『うん』と言わなくても、嫌だと思っていないことはすぐにわかった」
見透かすような篝の視線と言葉に香津美は体温がカアーッと上がるのを感じた。
目を見ると心の奥まで覗き込まれそうで、顔を逸らしきゅっと目を瞑る。
「だめだよ。そんな風にしても、もう逃がさないから」
そんな香津美の髪を掻き上げ耳を掴む。指が耳たぶを押し潰し、耳の裏を撫でられる。
「や、やめ・・」
「耳、弱いんだ。ここも性感帯だって、知ってるよね」
「そ、そんなこと・・」
耳元で息を吹きかけられ、背中をぞくぞくとしたものが駆け抜ける。
その時、篝の胸元の携帯が震えた。
「あ・・」
食事中に鳴ってはいけないとバイブにしていたらしい。
「チッ」
と舌打ちして篝が携帯に応対する。
助かったと、香津美は詰めていた息を吐いた。
でもこれが今だけなのは彼女もわかっていた。
当初篝は、香津美が望まないなら夜の夫婦生活はないと言っていたが、今のような猛攻が続けば、いずれ香津美が根をあげて受け入れてしまうだろう事は容易に想像できた。