結婚契約書に延長の条文はありませんが~御曹司は契約妻を引き留めたい~
「あ、ああああ」
待ち望んだものが得られ、歓喜の声が溢れる。
「香津美、中が熱くて蕩けそうだ。すごく絡みついて引きちぎられそうだ」
恍惚とした表情で和海が最奥を貫く。そこから一気に和海は腰を揺らし、高みへと一瞬で昇り詰めた。
一度では足りず、その日、二人は食べることも忘れて真夜中過ぎまで何度も何度も互いを求め合った。
最後には力尽き、香津美は気を失うように眠りについた。
次の日は殆ど起き上がれず、和海に世話を焼かれて過ごした。
朝食も昼食もベッドへ運んでもらい、お風呂にも入れてもらい、夕方ようやくベッドを出てダイニングで夕食を取った。
「ごめんなさい、和海さん。何も出来ないどころか、何から何までやってもらって」
下処理をして冷凍保存しておいたロールキャベツと、和海の実家からもらってきたお歳暮のハムなどのオードブルを食べ終わり、二人でコーヒーを飲んだ。
「無理させたのは俺だからね」
色気を含んだ視線を香津美の全身に走らせる。もこもこ生地のルームウェアの中で、香津美の体が反応する。
「おじい様達が言っていたことだけど・・」
「え?」
「あ、いや、何でも無い」
何かを言いかけて和海は言葉を呑み込んだ。
香津美も花純が言っていた、クリスマスに一緒にいた女性について尋ねようか迷ったが、結局それは和海との関係を崩すことになると重い、口を噤んだ。
「明日は仕事始めであちこち挨拶回りがある。遅くなると思う」
「わかりました」
「香津美は、まだ大学は休みだろ?」
「ええ、でも、卒論がまだの生徒もいるし、図書館とかは開けないといけないから」
「そうか」
コーヒーを飲みにながら、二人で何となくお正月の特別番組を観て過ごし、その日は早く寝ることにした。
大学入試の時期になると、香津美の仕事は多忙を極めた。
春先の入学式が終わるまで忙しい日々が続く。加えてその年は事務員の先輩が定年退職や寿退職、出産育児休暇と重なるため、事務分担を見直し、引き継ぎにと忙しく過ごした。
和海も決算時期が近づき、決算後に行われる定時株主総会まで殆ど休む暇も無かった。
そうして春が過ぎ夏になった。
大学は夏休みに入り、春に採用新人も新人も何とか仕事にも慣れ、香津美もようやく余裕が出来てきた。
「そろそろこれから先のことを考えないと」
カレンダーを後一枚捲れば約束の三年目。
香津美の手帳にはその日を記してある。お互いに忙しいと先延ばしにしていたのも、現実から目を背けたかったからなのもわかっている。
少なくとも香津美はそうだった。
和海が同じように思っているのかはわからない。
「最近、旦那さんとはどうなの?」
可奈子とが出会って一番にそう尋ねてきた。
可奈子は昨年の秋に第一子を出産し、何度か家には行ったが、外に出て食事をするのは久しぶりだった。
「年度末からずっと忙しくて、ゴールデンウィークも出張していたわ」
「そうじゃなくて、夫婦としてどうなのかって聞いているの。香津美、あんまり私にも話してくれないでしょ。柾とも話しているのよ」
「ああ」
「ほら、そうやって誤魔化す。そんなだからすぐ離婚するかもしれないって心配していたのに、なんだかんだ三年近く続いているからさ、意外と上手くいっているのかなって思っているところ」
「ありがとう、心配掛けてごめんね」
可奈子にも和海との結婚の本当の理由は話していない。言えば「馬鹿」と言われるのはわかっている。
それでも香津美が和海との関係をもっとドライに考え、当初の予定通り契約と割り切っていられるなら、話してもいいかと思っていた。
呆れられるかもしれないが、香津美が叔父や花純に振り回されるより、そこから離れて和海と結婚して得る自由な生活に共感してくれるだろう。
「うまく行っているよ。今度も休みを取って一緒に旅行に行くの」
「ほんと?」
嘘ではなかった。ちょうど先週、お盆には休みが取れそうだからどこか旅行にいかないかと誘われたばかりだった。
「でも、今からお盆の予約って、大丈夫なんですか」
誘ってもらえたことは嬉しかったが、時期が時期だけに難しいのではないだろうか。
待ち望んだものが得られ、歓喜の声が溢れる。
「香津美、中が熱くて蕩けそうだ。すごく絡みついて引きちぎられそうだ」
恍惚とした表情で和海が最奥を貫く。そこから一気に和海は腰を揺らし、高みへと一瞬で昇り詰めた。
一度では足りず、その日、二人は食べることも忘れて真夜中過ぎまで何度も何度も互いを求め合った。
最後には力尽き、香津美は気を失うように眠りについた。
次の日は殆ど起き上がれず、和海に世話を焼かれて過ごした。
朝食も昼食もベッドへ運んでもらい、お風呂にも入れてもらい、夕方ようやくベッドを出てダイニングで夕食を取った。
「ごめんなさい、和海さん。何も出来ないどころか、何から何までやってもらって」
下処理をして冷凍保存しておいたロールキャベツと、和海の実家からもらってきたお歳暮のハムなどのオードブルを食べ終わり、二人でコーヒーを飲んだ。
「無理させたのは俺だからね」
色気を含んだ視線を香津美の全身に走らせる。もこもこ生地のルームウェアの中で、香津美の体が反応する。
「おじい様達が言っていたことだけど・・」
「え?」
「あ、いや、何でも無い」
何かを言いかけて和海は言葉を呑み込んだ。
香津美も花純が言っていた、クリスマスに一緒にいた女性について尋ねようか迷ったが、結局それは和海との関係を崩すことになると重い、口を噤んだ。
「明日は仕事始めであちこち挨拶回りがある。遅くなると思う」
「わかりました」
「香津美は、まだ大学は休みだろ?」
「ええ、でも、卒論がまだの生徒もいるし、図書館とかは開けないといけないから」
「そうか」
コーヒーを飲みにながら、二人で何となくお正月の特別番組を観て過ごし、その日は早く寝ることにした。
大学入試の時期になると、香津美の仕事は多忙を極めた。
春先の入学式が終わるまで忙しい日々が続く。加えてその年は事務員の先輩が定年退職や寿退職、出産育児休暇と重なるため、事務分担を見直し、引き継ぎにと忙しく過ごした。
和海も決算時期が近づき、決算後に行われる定時株主総会まで殆ど休む暇も無かった。
そうして春が過ぎ夏になった。
大学は夏休みに入り、春に採用新人も新人も何とか仕事にも慣れ、香津美もようやく余裕が出来てきた。
「そろそろこれから先のことを考えないと」
カレンダーを後一枚捲れば約束の三年目。
香津美の手帳にはその日を記してある。お互いに忙しいと先延ばしにしていたのも、現実から目を背けたかったからなのもわかっている。
少なくとも香津美はそうだった。
和海が同じように思っているのかはわからない。
「最近、旦那さんとはどうなの?」
可奈子とが出会って一番にそう尋ねてきた。
可奈子は昨年の秋に第一子を出産し、何度か家には行ったが、外に出て食事をするのは久しぶりだった。
「年度末からずっと忙しくて、ゴールデンウィークも出張していたわ」
「そうじゃなくて、夫婦としてどうなのかって聞いているの。香津美、あんまり私にも話してくれないでしょ。柾とも話しているのよ」
「ああ」
「ほら、そうやって誤魔化す。そんなだからすぐ離婚するかもしれないって心配していたのに、なんだかんだ三年近く続いているからさ、意外と上手くいっているのかなって思っているところ」
「ありがとう、心配掛けてごめんね」
可奈子にも和海との結婚の本当の理由は話していない。言えば「馬鹿」と言われるのはわかっている。
それでも香津美が和海との関係をもっとドライに考え、当初の予定通り契約と割り切っていられるなら、話してもいいかと思っていた。
呆れられるかもしれないが、香津美が叔父や花純に振り回されるより、そこから離れて和海と結婚して得る自由な生活に共感してくれるだろう。
「うまく行っているよ。今度も休みを取って一緒に旅行に行くの」
「ほんと?」
嘘ではなかった。ちょうど先週、お盆には休みが取れそうだからどこか旅行にいかないかと誘われたばかりだった。
「でも、今からお盆の予約って、大丈夫なんですか」
誘ってもらえたことは嬉しかったが、時期が時期だけに難しいのではないだろうか。