【完結】捨てられた男爵令嬢は騎士を目指す2〜従騎士になったら王子殿下がめちゃくちゃ甘いんですが?


いよいよ明日、アルベルト殿下とソフィア様とのご婚姻の儀が催される。

そして、わたしがこの1年目標にしてきた馬上槍試合のトーナメントも開催されるんだ。

各国より招待された賓客も続々と到着され、警護を担当するために各地より騎士や兵士が招集されている。
わたしとアスター王子がいる騎士見習いの訓練場ですら、見張りの兵士がいるくらいだ。国によっては王太子レベルではなく、首脳である王自ら出向いた国もある。この物々しさは当たり前だ。


「いよいよ明日ですね」
「ああ。なんとかな」

わたしがぽつりとこぼしたひと言に、アスター王子が応じてくださった。近衛騎士団の幹部であるアスター王子もお父様も、最近とみに多忙でなかなか言葉をかわせなかった。わたしが瘴気のドラゴンとの戦いで大やけどをし、意識を取り戻した時には少し話したけど。

こうしてゆったりと話せるのは、何日ぶりだろう。

「……アルベルト兄上も、ようやく最愛の人を得てお幸せになられるんだ。弟として、心から祝福したい」

安堵感からアスター王子も素直になったのか、するりと本音を話されたけど。そうだろうな。

母親が違う異母兄弟とはいえ、アルベルト王子とアスター王子の仲の良さは有名な話だ。わたしが王宮にいた2年間と騎士見習いとしていたこの1年、2人が喧嘩をしたりいがみ合う姿を見たことがない。
本当の兄弟のように戯れたり、ふざけ合ったり…。見てるこちらが微笑ましくなるほどだ。
だから、わたしもアスター王子の言葉に素直に頷けた。

「そうですね。アルベルト殿下もソフィア様もお互い深く信頼しあい、真実愛し合ってらっしゃいますから。きっとお幸せになられるでしょう」

ソフィア様はレスター王子に婚約破棄されて間もなく、アルベルト王子の婚約者になられた。経緯はわからないけれども…今やお二人はきちんと相思相愛の仲だ。
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