可愛がってあげたい、強がりなきみを。 〜国民的イケメン俳優に出会った直後から全身全霊で溺愛されてます〜
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本当は、彼が先に車で帰り、わたしは後から列車で戻ることになっていた。
けれど、宗介さんが、せめて帰りは一緒に、と向井さんに頼みこんで車に乗せてもらうことになった。
ワンボックスの後部座席で、わたしたちはずっと手を握り合っていた。
信号待ちで停車したとき、宗介さんが中腰になり、運転席との仕切りのカーテンを閉めた。
そして、もう一度、今後は両手を包むように握って、正面からわたしを見つめた。
「結婚しよう」
「宗介さん……」
「俺はどうしても、郁美と一緒に人生を歩んでいきたい」
本当に唐突な人だ。
そういえば、こうして付き合うようになったきっかけも、彼からの強引で唐突な誘い。
思えば、それからまだ半年ほどしか経っていない。
それも、実際に会った日を数えたら、たぶん10日ぐらいなもの。
でも、わたしにも同じ確信があった。
彼となら、一生ともに歩んでいける。